ニュース速報
ビジネス

ECB、段階的かつ慎重な追加利下げが必要=議事要旨

2025年01月17日(金)01時04分

欧州中央銀行(ECB)が16日公表した2024年12月11─12日の理事会の議事要旨によると、政策担当者らは一段の政策緩和が行われる可能性が高いが、慎重かつ段階的に行う必要があるとの結論に達した。2024年7月撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch)

[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が16日公表した2024年12月11─12日の理事会の議事要旨によると、政策担当者らは一段の政策緩和が行われる可能性が高いが、慎重かつ段階的に行う必要があるとの結論に達した。

ECBは同理事会で、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ3.0%とした。域内の政情不安による経済成長への影響や米国との新たな貿易戦争のリスクを踏まえ、2025年の追加利下げの可能性に含みを残した。

議事要旨は「不確実性が広がっていることを考慮すると、この慎重なアプローチは依然として正当化される」とした。利下げは全会一致で支持された。

また「今後数カ月、数四半期にわたってインフレのベースライン予測が確認されれば、政策引き締めを徐々に緩和することが適切だと考えられる」とも述べた。

現在、ECBの焦点は過度な物価上昇から低迷する経済活動へと移っており、少なくとも経済成長を抑制しない水準まで金利を引き下げるべきだと主張する政策担当者が増えている。

しかし同理事会では、政策担当者らはインフレが実際に抑制されたと結論付ける前にはさらに多くの「チェックポイント」を通過する必要があるとし、選択性を保持し、特定の金利変更を約束することは避ける必要があるとした。そのため、声明文では新たな指針を追加せずに、従来の「十分に制約的な政策」を維持するとの確約を削除したという。

弱い成長見通しを踏まえ、0.50%ポイントの大幅な利下げを求める声が一部にあったものの、問題の多くは構造的な性質のものであり、金融政策では対処できないと結論付けた。

政策担当者らはまた、成長を減速させることも刺激することもない、いわゆる中立金利についても微妙な見解を示した。

複数の担当者から、その水準が次の目標であるべきだとの声が上がる一方、中立金利を測る信頼できる指標はなく、推定値の幅は広くなっていた。

ECBは「自然利子率や中立金利は分析上有用な概念だが、入手可能な推定値は金融政策の引き締め度合いを大まかに測る指標にしかならない」と指摘。「政策金利が概ね中立的な水準に達したかどうかを評価するためには、段階的なアプローチが必要だった」と結論付けた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ターゲット、11─1月売上高見通し引き上げ 利益

ビジネス

ECBラガルド総裁は渋面、ドラギ氏は笑顔で市場にメ

ワールド

米国務長官、ガザ停戦19日発効を確信 未解決の問題

ビジネス

米企業在庫、11月は0.1%増 予想と一致
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 2
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の超過密空間のリアル「島の社交場」として重宝された場所は?
  • 3
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 4
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    トランプの「領土奪取」は暴論にあらず。グリーンラ…
  • 7
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 8
    韓国ユン大統領、逮捕直前に気にしていたのは意外にも…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視し…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も阻まれ「弾除け」たちの不満が爆発か
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 6
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 7
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中