ニュース速報
ビジネス

FRB当局者、インフレ鈍化継続との見方 トランプ氏政策見極めへ

2025年01月16日(木)08時25分

1月15日、米連邦準備理事会(FRB)当局者は政権交代による政策変更などにより今後数カ月は不確実性が高まると指摘しつつ、この日発表された消費者物価指数(CPI)は物価上昇圧力の緩和継続を示唆しているという認識を示した。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Howard Schneider Michael S. Derby

[アナポリス(米メリーランド州) 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者は15日、政権交代による政策変更などにより今後数カ月は不確実性が高まると指摘しつつ、この日発表された消費者物価指数(CPI)は物価上昇圧力の緩和継続を示唆しているという認識を示した。

2024年12月のCPIは前年比2.9%上昇と前月から伸びがやや加速したが、基調的な物価圧力を測るのにより良い指標とされる変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比3.2%上昇と11月の3.3%上昇から鈍化した。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、朝方発表された12月のCPIが物価上昇圧力の緩和継続を示唆したとし、「インフレは目標に向け鈍化している」という認識を示した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も「デインフレのプロセスは継続している」と述べた。

FRBは過去3会合で計1%ポイントの利下げを実施しており、今月1月28─29日の次回会合では政策金利を4.25─4.50%に据え置くと予想されている。

一時は追加利下げが続くとみられていたが、インフレ抑制の進展停滞や強い経済指標を受け、こうした見方は後退している。

バーキン総裁は、経済が弱まっているという見方を裏付ける根拠はさほどないと指摘。「小売売上高や失業率などの数字は引き続き良好だ。需要は堅調だと聞いている」と語った。

しかし、トランプ次期大統領が選挙戦で掲げた輸入関税の大幅な引き上げ、不法移民の大量強制送還、減税といった公約をどれだけ積極的に実行するかによって、今後数カ月に経済の勢いとインフレの継続的な改善が試される可能性がある。

バーキン氏は、今後の財政政策の全体的な方向性ははっきりしているとみられるが、詳細が明らかになるまでFRBはどう対応すべきか分からないと述べた。

「進むべき方向は分かっているが、目的地は分からない。メキシコに25%の関税を課すことになるのか、それともしないのか。分からない」と語った。

ウィリアムズ総裁は、経済は均衡し順調な軌道にあるとの見解を示した上で、「経済見通しは、とりわけ財政や貿易、移民、規制に関する政策を巡って依然として不確実性が非常に高い」と述べた。

次回会合を前にFRBが発言を控えるブラックアウト期間に入るため、トランプ氏の最初の行動が及ぼす影響について当局者が言及する最初の機会は1月29日に予定されているパウエルFRB議長の会合後の記者会見となる。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国中銀、予想に反し金利据え置き ウォン安定化重視

ワールド

豪就業者数、12月は予想以上に増加 失業率は4%に

ワールド

韓国大統領の聴取再開へ、初日は黙秘 憲法裁では第2

ビジネス

トランプ氏の「外国歳入庁」設立案、イエレン財務長官
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視している
  • 4
    ド派手な激突シーンが話題に...ロシアの偵察ドローン…
  • 5
    中国自動車、ガソリン車は大幅減なのにEV販売は4割増…
  • 6
    【随時更新】韓国ユン大統領を拘束 高位公職者犯罪…
  • 7
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 8
    カリフォルニアの山火事が生んだ火災積雲を激写──NASA
  • 9
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 10
    「日本は中国より悪」──米クリフス、同業とUSスチ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 6
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 7
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 8
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 9
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中