ユーロ圏貯蓄率、目先高止まりか インフレで資産目減り＝ＥＣＢ

欧州中央銀行（ＥＣＢ）は８日公表した経済報告で、ユーロ圏の家計について、インフレで目減りした資産を補填するため、貯蓄率が短期的に高止まりする可能性があるとの見方を示した。フランクフルトのＥＣＢ本部、昨年９月撮影。（２０２５　ロイター/Jana Rodenbusch）

[フランクフルト ８日 ロイター] - 欧州中央銀行（ＥＣＢ）は８日公表した経済報告で、ユーロ圏の家計について、インフレで目減りした資産を補填するため、貯蓄率が短期的に高止まりする可能性があるとの見方を示した。消費低迷が引き続き経済成長の重しになるとみられる。

ＥＣＢは「貯蓄率は直近のピークをやや下回るものの、金利の変動緩和などを背景に短期的に高止まりする見通しだ」と指摘。

直近のデータによると、ユーロ圏の家計は昨年第２・四半期時点で可処分所得の１５．７％を貯蓄。貯蓄率は新型コロナウイルス流行前の１２─１３％を大幅に上回っている。

ＥＣＢはこれについて「インフレ高進に伴い、家計の実質純資産は過去２年で減少しており、資産を補填するインセンティブが増している」と分析。実質所得の増加と実質金利の高さも貯蓄の増加を促す要因となっている。

ただ、ＥＣＢは家計支出がいずれ回復するとの見解を維持。「予想される貯蓄率の低下と、実質労働所得の高い伸びの継続が、個人消費を後押しする見通しだ」と述べた。