AI株バブルを警告、ECB金融安定報告 ファンド流動性にも懸念
11月20日、 欧州中央銀行(ECB)は人工知能(AI)関連株の「バブル」を警告、投資家の楽観的な期待が満たされなければ突然破裂する可能性があるとの見方を示した。フランクフルトのECB本部で2018年4月撮影(2024年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は20日、人工知能(AI)関連株の「バブル」を警告、投資家の楽観的な期待が満たされなければ突然破裂する可能性があるとの見方を示した。
ECBは、半年に一度の金融機関や市場のリスクを評価する金融安定性レビューを公表。とりわけ米国などの株式市場でAIブームの恩恵を受けるとみられる少数の企業への依存度が高まっていると指摘した。
「数少ない大企業への資金集中は、AI関連資産バブルの可能性に対する懸念を招いている」とし、「世界の株式市場が深く結びついている状況では、これらの企業の収益予想が期待外れだった場合、世界的に悪影響が波及するリスクがある」と警告した。
ECBは、ファンドが現金バッファーを削減する一方で、投資家は株式や債券保有に低いプレミアムを要求していると指摘。
「一部のオープンエンド型投資ファンドでは流動資産保有量が比較的少なく、流動性のミスマッチが大きいため、現金不足が強制的な資産売却を招き、資産価格の下方修正が拡大する可能性がある」とした。
ECBは他のリスクとして、貿易の分断拡大に対するユーロ圏の脆弱さを挙げた。
トランプ次期米大統領は選挙戦で関税強化を公約に掲げており、複数のECB当局者は、次期政権で関税が強化されればユーロ圏の成長が損なわれると懸念を表明している。
ECBはまた、ユーロ圏加盟国、特にイタリアとフランスは今後10年間ではるかに高い金利で借り入れを行うことになるとし、慎重な財政政策の必要性を強調した。