BIS、中銀デジタル通貨の国境を越えた決済基盤プロジェクトから撤退
10月31日、国際決済銀行(BIS)は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国境を越えた決済基盤「プロジェクトmBridge」から撤退すると発表した。写真はバーゼルのBIS本部。2021年3月撮影(2024年 ロイター/Arnd Wiegmann)
[31日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は31日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国境を越えた決済基盤「プロジェクトmBridge」から撤退すると発表した。国境を越えた送金に対する地政学的な監視が強まっている中で、中国も加わっているプロジェクトmBridgeがどのように発展できるのかという疑問を投げかけた形だ。
プロジェクトmBridgeは中国、香港、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)の各中銀が組んで2021年に開始し、サウジアラビア中銀も今年6月に加わった。他に多くのオブザーバー参加メンバーも抱えている。
BISのアグスティン・カルステンス総裁はマドリードでのスペイン銀行大手サンタンデールの会議で、撤退理由について「失敗したからでも、政治的配慮のためでもなく、私たちが4年間関わってパートナーたちが自分たちで運営できる水準に達したためだ」と説明。併せて「mBridgeは運用を開始するには未熟だと言わざるを得ない。実現には何年も、何年もかかる」と言及した。
mBridgeが新興国グループ「BRICS」の基盤として使われ、ウクライナへの侵攻後に国際的な制裁を受けているロシアが制裁逃れに利用する可能性があるのではないかとの質問に対しては否定した。BISはいかなる制裁対象国とも業務をしておらず、今後もそうあり続けるとして「私たちは制裁を順守する必要があり、われわれがどのような成果物を作ろうとも制裁に違反する導線になってはならない」と強調した。
BISは6月、プロジェクトmBridgeが「実用最小限の製品」(MVP)の段階に到達したと公表していた。