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円金利資産は超長期国債中心に投資、償還多く残高は減少=かんぽ生命・24年度下期運用計画

2024年10月28日(月)17時00分

 10月28日、日本郵政グループのかんぽ生命保険は2024年度下期の一般勘定運用について、円金利資産は保有債券の償還が投資額を上回るため、残高は減少するとの見通しを示した。写真は日本郵政グループの看板。都内で2020年2月撮影(2024年 時事通信)

Tomo Uetake

[東京 28日 ロイター] - 日本郵政グループのかんぽ生命保険は28日、2024年度下期の一般勘定運用について、円金利資産は保有債券の償還が投資額を上回るため、残高は減少するとの見通しを示した。ただ一時払い終身保険の販売が好調で総資産の縮小ペースは減速しており、超長期国債を中心に「買い入れもきちんと行う」と語った。

28日に開催した資産運用方針説明会で、野村裕之執行役員・運用企画部長が明らかにした。

運用の柱となる円金利資産は、「買い目線」ではあるものの、総資産の縮小が続く中で投資額が保有債券の償還に届かず、上期に続き、残高は減少を見込む。

ただ野村氏は、一時払い終身保険の販売好調を背景に今年度は総資産の縮小ペースが前年度までの3兆円から、半分の1.5兆円程度に減速しているとして、「日本国債と国内事業債については買い入れもきちんと行っていく」との考えを示した。

かんぽ生命の総資産の6割を占める日本国債の主な投資対象は20年・30年といった超長期債で、「相対的に妙味が高まる局面で機動的に対応する」方針という。

30年国債利回りは28日時点で2.2%台だが、かんぽ生命では下期のレンジを1.90─2.40%、年度末の着地を2.25%と想定。また日銀の金融政策は今年度中にあと1回の利上げが行われるとの見通しをメインシナリオに置く。

野村氏は「一時払い終身保険の保険料が入ってくれば、今のように水準が悪くないなら、我々としてはあまりタイミングはずらさず素直に、着実に購入している」と述べた。

さらに10月から、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外国社債への投資を、円金利資産の一部としてスタートしたことも明らかにした。投資対象を拡大する狙いがあり、保険の販売状況や金融環境にもよるためターゲットは設けていないが、数千億円程度の残高まで徐々に積み上げたいとしている。

外貨建て債券のうち、為替ヘッジ付きはヘッジコスト控除後利回りの低下を踏まえて、低利回り債券の売却を継続する方針。為替リスクをヘッジしないオープン外債は、「円高見通しの中、慎重にリスクテイクを行う方針」で、残高は微増を見込む。

リスク性資産の株式は、国内外ともに「慎重なリスクテイク」を基本姿勢とし、調整局面を待って買う方針。国内株式の残高は微増、外国株式は横ばいと見込んでいる。

オルタナティブ資産は、上期に続き残高を増やす。投資機会に応じてプライベートエクイティ(PE)などを積み上げる方針という。

かんぽ生命の一般勘定の総資産残高は、3月末時点で60兆8570億円。うち外貨建て資産は4兆0843億円(6.7%)。

2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り   0.90―1.40% (年度末1.20%)

日本国債30年物利回り   1.90―2.40% (年度末2.25%)

米10年物国債利回り    3.30―4.50% (年度末3.80%)

日経平均株価        3万5000―4万2000円 (年度末4万円)

ドル/円          130―150円   (年度末140円)

ユーロ/円         140―160円   (年度末152円)

(植竹知子)

ロイター
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