ニュース速報
ビジネス

IMF・世銀総会開幕へ、戦争や景気低迷が影 米大統領選を懸念

2024年10月21日(月)16時21分

 10月21日、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会がワシントンで開幕する。写真はワシントンのIMF本部で2018年9月撮影(2024年 ロイター/Yuri Gripas)

David Lawder

[ワシントン 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が21日、ワシントンで開幕する。

中東・ウクライナの戦争や中国経済の低迷が世界経済に影を落とす中、来月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、貿易紛争が再発し、多国間の協力体制に悪影響が出るとの懸念も浮上している。

年次総会では世界経済の押し上げ、途上国の債務問題、グリーンエネルギー移行に向けた資金調達といった課題が議論される。

元IMF高官のジョシュ・リプスキー氏は「世界経済にとって最も重要な問題と言える米大統領選の結果は公式議題にはなっていないが、誰の頭にもある」と指摘。「通商政策、ドル相場、次の米連邦準備理事会(FRB)議長の人選に多大な影響を及ぼし、そうしたことが全て世界各国に影響する」と述べた。

米政府が中国の電気自動車(EV)や半導体などに対する関税を大幅に引き上げるなど、貿易・産業政策を巡る先進国の反中感情も大きな議題になるとみられている。

IMFは22日に世界経済の新たな成長予測を公表する。ゲオルギエワ専務理事は、世界経済の成長率が中期的に停滞し、貿易摩擦が激化すると同時に債務が高水準にとどまるとの厳しい見通しを示している。

途上国の債務問題を巡っては、世銀のバンガ総裁が、二国間やパリクラブ(債権国会議)の商業債権者が今以上に債務免除を提供する必要があると主張。

中東情勢については、ゲオルギエワ氏がロイターとのインタビューで「緊張がエスカレートすれば原油やガスの輸送がリスクにさらされ、世界経済にはるかに重大な影響を及ぼす恐れがある」と述べている。

対ウクライナ支援も大きな議題になる見通しだ。主要7カ国(G7)は、制裁で凍結されているロシア資産が生む利子を活用し、ウクライナに対し500億ドルの支援を行うことで大筋合意している。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドネシア新政権、エネ生産回復目指す 増産や油井

ビジネス

焦点:大規模緩和の爪痕、債券先物に支障のリスク 日

ワールド

焦点:インドで暴力におびえるイスラム教徒、急増する

ワールド

米国防長官がキーウ訪問、ウクライナ支援継続を約束へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎる」と大炎上 「なぜ幼い少女の胸に谷間!?」
  • 2
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 5
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「…
  • 6
    グロズヌイ「巨大爆発」の瞬間映像...「戦時」の不安…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 9
    トランプが、娘から露骨に顔を背けて「完全無視」...…
  • 10
    騒然!中国がCCTV「台湾侵攻」番組で伝えた想定展開…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 4
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 5
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 6
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思…
  • 9
    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…
  • 10
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 9
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中