富士ソフト創業者、ベイン案への賛同要求 買収巡り会社に意見書
Ami Miyazaki Miho Uranaka
[東京 18日 ロイター] - 富士ソフトの創業者で、大株主の野沢宏氏は17日、同社に買収提案をしている米投資ファンドのベインキャピタルとKKRのうち、ベイン案への賛同と株式公開買い付け(TOB)への応募推奨意見を出すよう同社に求める意見書を公表した。
KKRの買い付け価格より高いベインキャピタルの提案は「株主共同の利益に資するのは誰の目から見ても明白」だとし、KKRのTOBに対する賛同は取り下げるべきとしている。
取締役会がベインの提案に賛同表明せず、結果としてベインのTOBを開始させないことは「取締役の善管注意義務違反に該当し、株主共同の利益に明らかに反する」とした。
KKRは、野沢氏の意見書についてコメントを控えた。富士ソフトからのコメントは得られていない。
KKRは、富士ソフトの主要株主である3Dインベストメントパートナーズとファラロンキャピタルからの支持を得たとしており、発行済み株式の33%を獲得できる見通し。ベインキャピタルはロイターに対し、経営陣や創業者に対して「ホワイトナイト」としての支援を続けると述べた。
野沢氏は同時に、一般株主らに宛てた文書も公表した。非公開化がアクティビスト主導のプロセスが契機だったとの認識を示し、「アクティビストによる資本の論理で、非公開化に誘導するような進め方については強い違和感がある」と指摘した。ベインはアクティビスト主導のプロセスには参加していないとしている。
ベインは11日、同社に対して法的拘束力のある買収案を提示、これに対し富士ソフトは真摯(しんし)に検討するとのコメントを発表した。
ベインのTOB価格は1株9450円で、KKRの8800円を7.3%上回る。KKRは先月、TOBを開始し、幅広い株主の参加を促すため下限を撤廃し、2段階で進める方法に切り替えている。富士ソフトは賛同を表明していた。