エヌビディア、8─10月見通しさえず株価下落 5─7月決算は予想超え
米半導体大手エヌビディアは28日、第3・四半期(8─10月)の売上高が325億ドル(プラスマイナス2%)になると予想し、市場予想を上回った。写真は米カリフォルニア州サンタクララにあるエヌビディア本社。2022年5月撮影(2024年 ロイター/Courtesy NVIDIA/Handout via REUTERS)
Arsheeya Bajwa
[28日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアは28日、第3・四半期(8─10月)の売上高が325億ドル(プラスマイナス2%)になると予想した。市場予想(317億7000万ドル)とほぼ一致する水準にとどまり、株価は引け後の時間外取引で6%下落した。このまま株価が推移すれば、エヌビディアは1750億ドルの市場価値を失うことになる。
第2・四半期決算は売上高と調整後利益が予想を上回り、500億ドルの自社株買いも発表したが、売上高と粗利益率の見通しが市場予想を下回り、影を落とした。
人工知能(AI)ブームの恩恵を受けるとの期待から、エヌビディアの株価は年初来150%超急騰。過去2年では7倍超値上がりしていた。
同社の業績見通しはAI需要の指標と見られていることから、生成AI投資からの利益創出に時間がかかるとの懸念が強まり、ハイテク大手による大規模なデータセンター投資の再考につながる可能性もある。こうした見方がこのところ、AI関連株に波紋を広げている。
エヌビディアの主要顧客であるマイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズは今年、2000億ドルを超える設備投資を行うとみられ、その大半はAIインフラ構築に充てられる。
カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「今回の予想超えの幅はこれまでよりもかなり小さかった」と指摘。「将来の見通しも引き上げられたが、やはり過去数四半期ほどではなかった。122%の増収を続ける素晴らしい企業だが、今回の決算シーズンはハードルが高すぎたようだ」と語った。
第3・四半期の調整後粗利益率見通しは75%(プラスマイナス0.5%ポイント)とした。アナリスト予想は75.5%。
第2・四半期の粗利益率は75.7%。市場予想は75.8%だった。
稼ぎ頭のデータセンター部門の売上高は154%増の263億ドルで、市場予想の251億5000万ドルを上回った。前四半期からは16%増加した。
総売上高は300億4000万ドルで、市場予想の287億ドルを上回った。
ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は会見で、オープンAIの「チャットGPT」のような生成AI技術を支えるエヌビディアの高性能画像処理装置(GPU)への需要が増え続けていると強調した。
また、最新のAI向けチップ「ブラックウェル」の増産が第4・四半期まで延期されたとの報道を確認したが、顧客は現行世代のチップを確保しつつあると述べ、遅延の影響は小さいとした。同社は、設計を微調整したブラックウェルのサンプルをパートナーや顧客に出荷しており、第4・四半期にはこれらのチップから数十億ドルの売り上げが見込まれるとの見方を示した。
エヌビディアは今回、新たに米国と韓国の規制当局から、GPUの販売、基盤モデル、基盤モデル開発企業への投資や提携などに関する情報提供を求められていると明らかにした。同社は先に、欧州連合(EU)、英国、中国の当局から問い合わせがあったと公表していた。