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アングル:海外短期筋「買い転換」の兆し、3万8000円台の壁超えなるか

2024年08月20日(火)18時57分

 8月20日、日本株が落ち着きを取り戻しつつある中、日経平均は3万8000円台の攻防が激しくなりそうだ。都内の株価ボード前で6日撮影(2024年 ロイター/Willy Kurniawan)

Noriyuki Hirata

[東京 20日 ロイター] - 日本株が落ち着きを取り戻しつつある中、日経平均は3万8000円台の攻防が激しくなりそうだ。影響力の大きい海外短期筋がロング(買い)ポジションを本格的に再構築する兆しが指摘されており、累積売買代金の多いゾーンを突破するだけの売買エネルギーが盛り上がるかがカギとなりそうだ。

<CTAの買いポジション、平時の7割>

JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは海外短期筋の一角である商品投資顧問業(CTA)について「想定よりも早いタイミングで日経平均先物ロングの復元に動き始めたようだ」と指摘する。

CTAはトレンド追随型の投資戦略で知られる。株価急落の局面にかけて買いポジションを落とし、足元では平常時の上限の7割程度にとどまると高田氏は試算している。急落後の株価のリバウンド幅が大き過ぎ、3万7000円を上回った辺りからトレンド追随目的に最適な持ち高水準を下回ってきたという。

一方、昨年12月以降、CTAの買いが多かった3万8200円付近を上回ってくると目線が上向きになりやすいという。日経平均との相関を踏まえると、CTAのロングが平時の上限まで復元していくなら「目先は3万7800円─3万9800円のレンジを想定することがひとまず適当だろう」と高田氏は話している。

<一筋縄でいかない3万8000円超え>

もっとも、3万8000円から上方向は需給面から上値が重くなりやすいともみられている。日経平均が4―6月に滞留した水準で、年初からの累積売買代金が膨らんでいる価格帯となり、しこりが残留していると見込まれる。

みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジストによると、3万8000円より上の累積売買代金は約490兆円で、このうち3万8000円ー3万9000円が約230兆円と、最も積み上がっているゾーンとなる。

市場で注目される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前に手掛けにくさが意識される中、日次のプライム市場の売買代金は、4兆円程度での推移が続いている。「強い相場なら株高時に売買代金が増えるが、4兆円程度では力不足。売買代金が膨らみながら株価が上昇するかがポイントになる」と、中村氏は指摘する。

将来の売り需要につながる信用買い残は、直近のピークだった7月26日までの週の約5兆円が、株価急落時に1兆円程度減少した。ただ、16日までの週で3.8兆円程度と依然として高水準にとどまっている。

三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、3兆円程度に減れば整理が進んだといえるとしながら「需給面の整理は道半ば」とみており「4万円に近づくにつれて戻り待ちの売りが出やすい」と話している。

海外短期筋も一枚岩ではなく「半身」の姿勢のようだ。JPモルガンの高田氏は「買いポジションの復元は、序盤の試し打ちの局面だろう。ジャクソンホール会議や8月分の米雇用統計を見極めたいとの声も聞かれる」と指摘する。

薄商いの中で海外短期筋の買いポジション再構築の動きが広がるなら、株価はスルスルと上昇し得る一方、商いを伴わなければ短命の株高となり得る。みずほの中村氏は、目先は「往来相場だろう」とみている。

(平田紀之 編集:橋本浩)

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