英中銀、4年5カ月ぶり利下げ 5対4の決定 総裁「今後は慎重」
イングランド銀行(中央銀行)は1日、政策金利を16年ぶり高水準から0.25%引き下げ5.00%とした。中銀本部前で7月撮影。(2024年 ロイター/Maja Smiejkowska/File Photo)
Andy Bruce Suban Abdulla David Milliken
[ロンドン 1日 ロイター] - イングランド銀行(中央銀行)は1日、政策金利を16年ぶり高水準から0.25%引き下げ5.00%とした。インフレ圧力が十分緩和されたか意見が分かれ、5対4での決定となった。
ベイリー総裁は、今後は慎重に動くとし、急速な利下げを確約しているわけではないと強調。「インフレが低水準にとどまることを確認し、早すぎたり幅が大きすぎる引き下げにならないよう注意する必要がある」と声明で述べた。
今回の決定はロイターのエコノミスト調査の予想通りだったが、金融市場は利下げの可能性を60%強とみていた。
金利はほぼ1年間据え置かれており、イングランド銀の引き締めサイクルピークでの据え置き期間としては2001年以来最長だった。利下げはコロナ禍が始まった2020年3月以来となる。
今回の議事録では、利下げ決定が一部委員にとって「微妙なバランス」と指摘。これは、7対2で金利据え置きを決定した6月と同じ表現だった。
利下げを支持したのは、前回も賛成していたラムスデン副総裁とディングラ委員のほか、ベイリー総裁、ブリーデン副総裁、ロンバルデリ副総裁だった。
ベイリー総裁は、中銀は会合ごとに金利に関する決定を下していくと表明。ただ、市場では年内に追加利下げが実施されるとの見方が出ており、市場が見込む次回9月の会合での追加利下げの可能性は約55%となっている。
<インフレ見通し>
英国の消費者物価上昇率は、22年10月に11.1%と41年ぶり高水準となったがその後低下、5月には中銀目標の2%に戻り、6月も同水準を維持した。
しかしイングランド銀は、昨年のエネルギー価格下落の影響が薄れるにつれて総合インフレ率は今年第4・四半期には2.75%まで上昇、26年初めには目標の2%に戻り、その後は2%を下回ると予想している。
金利がインフレ率に影響を与えるまでのタイムラグが長いため、中期的インフレ要因として中銀はサービス価格、賃金の伸び、総合な労働市場の逼迫に注目している。
6月のサービスインフレは中銀予想を大幅に上回ったが、「振れやすい構成項目」と、高水準だった今年初めの総合インフレ率の影響を受けた調整価格によるものと中銀は指摘した。
今年の経済成長率は1.25%程度と予想、上半期が予想を上回る成長となったことを受けて、前回予想の0.5%から上方修正した。
高金利が引き続き成長を圧迫するため失業率は若干上昇し、インフレ上昇圧力は弱まるとの見通しを示した。
しかし、インフレ圧力がより持続的となり、インフレ率が目標を上回る状態がメイン予想よりも長期化するリスクがあるの見方も示した。
今回の予想は26年末までに金利が約3.7%まで低下するという市場予想に基づいている。
<債券売却>
イングランド銀は来月、2009ー2020年に積み上げた債券保有について、年間1000億ポンド規模の削減を継続するかどうかも決定する必要がある。
今回に発表された報告で、これらの債券売却が国債市場に与えた影響は限定的で、将来的に影響が拡大した場合には金利水準が高いため金融政策を微調整する余地があるとの評価を維持。
10年国債利回りが22年2月から24年6月まで2.75%ポイント上昇したが、債券売却はこれに0.1ー0.2%ポイント寄与したとの推計を示した。
ラムスデン副総裁は政策決定会合後の記者会見で、金利が低下しても、向こう1年は債券売却プログラムを継続できるとの考えを示した。