インフレ抑制、第2四半期に進展 「確信幾分強まる」=FRB議長
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長(写真)は15日、ワシントン経済クラブ主催の会合に出席し、第2・四半期のインフレ指標にはFRBの目標回帰に向けた「さらなる進展」が見られたと述べた。6月撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[15日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は15日、第2・四半期の毎月のインフレ指標は、物価上昇ペースがFRBの目標に持続可能な形で戻りつつあるという「確信をいくらか強める」ものだったと述べ、利下げ開始がそう遠くない可能性を示唆した。
パウエル氏はワシントン経済クラブ主催の会合で、インフレ抑制を巡り「第2・四半期にいくらか進展があった」とし、「過去3回のインフレ指標は改善しており、平均するとかなり良い状況にある」と述べた。
その上で「インフレ率が持続的に2%に戻るという確信が強まるまで、政策を緩和し始めるのは適切ではないとこれまでも述べてきた」と言及。「われわれはそうなるのを待っていた。第1・四半期には一段の確信は得られなかったが、先週のものを含め、第2・四半期の3回の指標である程度、確信が高まった」と語った。
このほか、米経済が大きな波乱に見舞われることはないと予想。経済のハードランディングシナリオは「最も可能性の高いものでも、ありそうなシナリオでもない」とした。
7月30─31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前のパウエル氏の発言機会は、これが最後となる見通し。
同FOMCで利下げが決定されるとの観測はほぼ皆無。市場では引き続き9月の会合に続き11月と12月にも利下げが決定され、政策金利は年末までに4.5─4.75%に引き下げられると予想されている。
<バランスを取り戻す>
パウエル氏の説明からは、同氏がインフレはFRBの目標に着実に回帰し、完全雇用を守るための余地が生まれるような均衡状態に戻ったと、主要な点において捉えていることがうかがえた。
「労働市場には緩みはない。基本的に今は均衡している」とする一方、インフレ率が2.5%であることを指摘。失業率が急上昇することなくインフレ率がピークから低下していることは従来の常識では考えられなかったとした。失業率は4.1%で、2%のインフレ目標と整合的な完全雇用を示すFRB当局者の予測中央値より0.1%低い水準にある。
<任期は全う>
パウエル氏は、2026年5月までとなる任期を全うするかとの質問に対し、「全うする」と答えた。次期大統領に指名された場合に議長に留まるかどうかについてはコメントを控えた。
11月の大統領選で返り咲く可能性が取り沙汰される共和党のトランプ前大統領はFRBの政策運営を非難してきた経緯がある。
7月30─31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前のパウエル氏の発言機会は、これが最後となる見通し。