ニュース速報
ビジネス

人民元/印ルピーのキャリートレード、米大統領選まで魅力維持か

2024年07月04日(木)13時31分

 低金利通貨で調達した資金を高金利通貨建て資産に振り向けるキャリートレードの対象として、中国人民元とインドルピーの組み合わせが人気を博している。写真はインドルピー紙幣、2013年6月撮影(2024年 ロイター/Vivek Prakash)

Jaspreet Kalra Nimesh Vora

[ムンバイ 3日 ロイター] - 低金利通貨で調達した資金を高金利通貨建て資産に振り向けるキャリートレードの対象として、中国人民元とインドルピーの組み合わせが人気を博している。トレーダーやアナリストの話では、少なくとも11月の米大統領選までは、この取引は魅力を保持し続けそうだ。

1年物金利で見るとインドは中国より5.5%ポイントも高い上に、今後の見通しはルピーが明るく、人民元は暗い。そして両通貨ともボラティリティーが低いことから、人民元で調達した資金をルピー建てに投じることが、アジアのキャリートレードとして最も妙味を持つようになった。

人民元とルピーのキャリートレードの規模に関する正式な指標やデータは存在しないが、ある銀行関係者が顧客のフローに基づいて見積もったところでは400億ドル近くに達する。

ジェフリーズの外国為替責任者を務めるブラッド・ベッチェル氏は、中国人民銀行が米大統領選の時期にかけて人民元の緩やかな下落を容認する公算が大きいとみている。

一方インドは中国に比べて経済の先行きへの期待が高く、外国からの証券投資がしっかりとルピーを支えている。

ソシエテ・ジェネラルはノートで、総合的に判断すると人民元の下げ圧力はルピーよりも大きいとの見方を示した。

両通貨には、主にそれぞれの中央銀行が通貨管理により積極的なことから、アジア通貨の中では相対的に値動きが安定しているという共通項もある。

ベッチェル氏は、これに金利差が加わって、人民元とルピーのキャリートレードの魅力を高めていると指摘した。

また米大統領選で、中国製品に対する関税強化を提唱している共和党のトランプ前大統領が当選する事態になれば、そうしたキャリートレードの妙味は一層高まるとみられる。

MUFGのシニア通貨アナリスト、ロイド・チャン氏は、米中の緊張が増大する可能性に人民元が向き合わなければならなくなり、下げ圧力が続くと予想した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、イスラエル人質解放巡る米提案に合意 一部譲

ワールド

イラン大統領選、改革派ペゼシュキアン氏が当選 決選

ワールド

バイデン氏、選挙戦継続を強調 認知力検査の受診には

ワールド

アングル:インド経済最大のリスクは「水」、高成長の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVの実力
特集:中国EVの実力
2024年7月 9日号(7/ 2発売)

欧米の包囲網と販売減速に直面した「進撃の中華EV」のリアルな現在地

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった...アン王女の娘婿が語る
  • 2
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車砲とドローンの「精密爆撃」で次々に「撃破」する瞬間
  • 3
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 4
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 5
    「下手な女優」役でナタリー・ポートマンに勝てる者…
  • 6
    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…
  • 7
    『ザ・ボーイズ』がくれた「イケメン俳優」像を笑い…
  • 8
    「黒焦げにした」ロシアの軍用車10数両をウクライナ…
  • 9
    「劇場型政治家」小池百合子の限界...頼れる誰かに擦…
  • 10
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 1
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 2
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 3
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 4
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 5
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」.…
  • 6
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 7
    H3ロケット3号機打ち上げ成功、「だいち4号」にかか…
  • 8
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 9
    能登半島地震から半年、メディアが伝えない被災者た…
  • 10
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 5
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 8
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 9
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 10
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中