ニュース速報
ビジネス

米銀キャピタル・ワン、ディスカバー買収 カード事業強化へ

2024年02月20日(火)13時32分

 2月19日、米商業銀行キャピタル ・ワンがクレジットカード事業会社ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズを買収する協議が進展しており、早ければ20日に合意が発表される可能性がある。ニューヨーク証券取引所で2018年撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

Anirban Sen Michelle Price

[ニューヨーク/ワシントン 19日 ロイター] - 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資する米銀キャピタル ・ワンは19日、クレジットカード大手ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズを株式交換で買収すると発表した。買収額は353億ドル。

両社の統合が実現すると資産規模で米6位、クレジットカード事業で大きな存在感を持つ銀行となり、JPモルガン・チェースやシティグループと競合する。

ディスカバーは20カ国・地域にまたがるネットワークを持つが、ビザやマスターカード、アメリカン・エキスプレス(アメックス)には遠く及ばない。

両社は、この買収が規模や投資の拡大、決済業界最大手に対抗できる決済網構築を可能にすると表明。コスト削減や拠点の統廃合を通じて税引き前で27億ドルのシナジー達成を見込んだ。

買収条件は、ディスカバー1株に対してキャピタル・ワン1.0192株を割り当てる。ディスカバーの16日終値に26.6%を上乗せした水準。

統合会社の出資構成はキャピタル・ワンの既存株主が60%、ディスカバーの既存株主が約40%となる見込み。取締役会の総数は現段階で不明だが、ディスカバー側が3人出す予定。

キャピタル・ワンはバフェット氏の投資会社バークシャー・ハザウェイが3.28%出資する第7位株主。ニルソンによると、2022年時点の決済件数で米クレジットカード業界4位で、ディスカバーは6位だった。

<独禁審査は厳しく>

ディスカバー買収でキャピタル ・ワンは手数料収入の大幅な増加が期待できるが、反トラスト法(独占禁止法)面で当局の厳格な審査が予想される。

バイデン政権は21年の大統領令で銀行の合併について、規制当局や司法省により厳しい姿勢で臨むよう指示した。米連邦準備理事会(FRB)で銀行合併の監督に当たったミシガン大学のジェレミー・クレス教授(商法)は「21年大統領令発令以降、銀行合併規制で最初の大きな試金石になる」と指摘した。

当局はクレジットカード手数料にも厳しい目を向けている。厳格な新規制を提案した米消費者金融保護局(CFPB)はカード大手の手数料の高さなど競争面の問題を指摘している。

シアトル大学法科大学院のジョン・カークウッド教授は、クレジットカード発行市場での両社の地位や、合併が競争を阻害したり新規参入の障害になる可能性が審査の焦点になるだろうと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:FRB当局者、利下げの準備はできていると

ワールド

米共和党のチェイニー元副大統領、ハリス氏投票を表明

ワールド

アングル:AI洪水予測で災害前に補助金支給、ナイジ

ワールド

アングル:中国にのしかかる「肥満問題」、経済低迷で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 3
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 4
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 5
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 10
    川底から発見された「エイリアンの頭」の謎...ネット…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 4
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 5
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 8
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 9
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中