国内企業物価10月は0.8%上昇に伸び縮小、2年8カ月ぶり1%割れ

日銀が13日発表した10月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は119.1となり、前年同月比0.8%上昇した。2017年2月、都内で撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)
Kentaro Sugiyama
[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日発表した10月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は119.1となり、前年同月比0.8%上昇した。伸び率は昨年12月に10.6%を付けてから10カ月連続で縮小してきており、10月は2021年2月以来2年8カ月ぶりに1%を下回った。
ロイターがまとめた予測中央値は前年比0.9%の上昇で、公表されたプラス幅は予想を下回った。
全515品目中、前年比で上昇したのは405品目、下落は97品目だった。差し引きは308品目で、昨年12月から今年2月にかけて400品目を超えていたことに比べると落ち着きがみられてきた。
最も押し上げに寄与した品目は「飲食料品」で、前年比4.9%上昇した。原材料や包装資材、エネルギーコストなどの上昇を転嫁する動きがみられた。
このほか「輸送用機器」が同2.6%上昇、「パルプ・紙・同製品」が同10.9%上昇となった。ともに過去の原材料価格上昇の影響が出た。
前月9月との比較では、企業物価全体で0.4%の下落。政府の燃料油価格激変緩和対策事業で「石油・石炭製品」が大きく押し下げられたことが影響した。
日銀の担当者によると、依然として過去のコスト上昇分を価格に転嫁する動きがある一方、値上げを打ち出したものの浸透に時間がかかるケースも聞かれるという。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは「2024年半ばくらいまでは過去の円安の影響などで値上げ傾向が続いても、以降は価格転嫁が終了した品目で値下げの余地を探る動きも生じるだろう。商品市況や為替が横ばいとなれば、物価は下振れ方向のリスクが大きい」との見方を示している。
*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。