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焦点:縮小深刻な香港株式市場、不透明な中国経済と規制が直撃

2023年10月28日(土)07時54分

 香港当局は縮小する株式市場を再生させるための対策を打ち出しているが、一時しのぎにしかならないだろう。写真は香港証券取引所で2016年1月撮影(2023年 ロイター/Bobby Yip)

Summer Zhen Xie Yu

[香港 25日 ロイター] - 香港当局は縮小する株式市場を再生させるための対策を打ち出しているが、一時しのぎにしかならないだろう。中国経済の見通しが大きく改善しない限り、金融センターとしての香港の復活は不可能だとアナリストは指摘している。

香港政府は数カ月前から、低迷している株式市場の出来高を増やそうと努力してきた。足元では李家超行政長官が25日、投資と移住を結びつける計画に加え、株式取引にかかる印紙税率の引き下げを発表した。

しかし、香港はアジアの主要な金融センター、そして世界第2位の経済大国・中国への玄関口というかつての面影を失いつつある。外国人投資家は中国について、不透明な政策、不動産市場の低迷、民間企業への取り締まり強化などによって孤立感を強めていると見なし、投資を減らしている。

香港株式市場の時価総額は約4兆3000億ドルで、米国、日本、中国、欧州に次ぐ世界有数の市場だ。

だが、出来高を見ると、1─6月の1日平均は113億ドルと、米ナスダック市場の2610億ドル、日本の279億ドル、中国深セン証券取引所の779億ドルに遠く及ばない。新規の株式発行も減っている。

キングストン・セキュリティーズの調査執行ディレクター、ディッキー・ウォン氏は、印紙税率引き下げは予想通りだと話す。これを機に香港株式市場は「短期的に反発」するかもしれないが、外国人投資家の撤退や米中間の緊張といった長期的課題は、重くのしかかり続けるという。

香港の主要株価指数であるハンセン指数とハンセン中国株指数は、いずれも年初から11%余り下げた。

ハンセン指数は1月末の2万2700.85をピークに下落し、現在は1万7000前後で取引されている。

第2・四半期以降、1日の出来高が800億香港ドルを下回る日が何日もあり、2021年の1日平均1600億香港ドルの半分程度となっている。

米資産運用会社オーブリー・キャピタル・マネジメントのロブ・ブルーイス氏は「外国人投資家が中国投資を減らしていることで、流動性は確実に減少している。当社を含め、多くの投資家は香港経由で中国株にアクセスしているからだ」と語る。

同氏は、この理由について「中国経済の見通し悪化と政治リスクの高まり」が意識されているためだとし「唯一の解決策は、これらの基調を反転させることしかない。つまり経済と対外関係の好転だ。簡単ではない」と述べた。

セントラル・アセット・インベストメンツ(香港)のエディー・タム最高投資責任者(CIO)は、外国人投資家による「香港株の売りは終わりに近づいてはいない」と話した。

中国経済は今年、ゼロコロナ政策の終了を受けて一時的に持ち直したものの、その後は落ち込んでいる。

<ブローカーの苦境>

出来高の減少は、数百社に上る香港の零細ブローカーに打撃を及ぼしている。地元メディアによると、香港証券取引所で取引していた638社中、昨年は過去最多の47社が廃業した。

香港市場は、騰訊控股(テンセント)やアリババなど中国の巨大IT企業が出来高の大半を占めているため、同市場の命運を握るのは中国の動向だ。

プルデンシャル・ブローカレージのアソシエイト・ディレクター、アルビン・チャン氏は、業界は今「静まりかえって」おり、彼自身「ここしばらくは、われわれの商売の持続性を心配している」と語る。

「現在の出来高は極端に少なく、投資家は、他の投資家が参加しないのを見て買いを渋っている。投資意欲は急激に落ち込んだ」という。

アレックス・KY・ウォン・アセット・マネジメント・カンパニーのパートナー、アレックス・ウォン氏は、世界金融危機が起こった2008年に比べても市場心理は暗いと話す。

「当時はだれもが、今のサイクルを切り抜けられると信じていた。今回の問題は、多くの人々が(中国の)バランスシート不況を懸念していることだ」と指摘した。

ウォン氏は、古参投資家の投資意欲が衰えている上、若い世代は米国株の取引の方に興味を持っていると説明。「新規マネーを呼び込むのは非常に難しい。つまり構造問題なのだ」と語った。

ロイター
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