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中国恒大創業者、高級住宅や美術品から資金捻出 当局の指示受け
中国不動産開発大手、中国恒大集団が債務の返済に追われる中、同社の創業者である許家印・董事局主席(写真)は、美術品、書道作品、高級住宅2軒といった資産から資金を捻出している。11月16日、関連資料や関係筋の話で明らかになった。2016年3月撮影(2021年 ロイター/Bobby Yip/File Photo)
[香港 16日 ロイター] - 中国不動産開発大手、中国恒大集団が債務の返済に追われる中、同社の創業者である許家印・董事局主席(63)は、美術品、書道作品、高級住宅2軒といった資産から資金を捻出している。関連資料や関係筋の話で明らかになった。
これとは別の関係筋2人がロイターに先月明らかにしたところによると、中国当局は許氏に対し、個人資産の一部を債券保有者への支払いに充てるよう指示していた。
香港の土地登記処に提出された資料によると、許氏は10月に中国建設銀行からの融資に対して香港の高級住宅地・山頂(ピーク)にある約5000平方フィートの豪邸の1軒を抵当に入れた。
地元メディアによると、延滞していた恒大債券の返済のために約3億香港ドルが調達された。
また土地登記処によると、2017年にアジアで最も裕福な男性にランクされた許氏は11月8日、ピークにある2軒目の高級住宅をオリックス・アジア・キャピタルの抵当に入れた。金額は明らかになっていない。
香港のきらびやかな高層ビルを一望できるこれらの物件は、不動産業者によると、それぞれ約8億香港ドルの価値があるという。
許氏と恒大からはコメントを得られなかった。
また、中国政府の報道対応部門、国務院新聞弁公室からもコメントは得られなかった。
事情に詳しい関係筋によると、許氏は書道作品や美術品、そして幸運の象徴とされるコイに熱中し、数千万元を費やしたという。
この関係筋によると、恒大は許氏の指示で一部の美術品や書道作品を売却しているという。
ロイターは今のところ、こうした美術品の売却によっていくら集まったのか、またその資金が何に使われたのかを把握できていない。
また関係筋によると、恒大はここ数週間でガルフストリーム・ジェットを2機売却したという。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今月、恒大がプライベートジェット2機を米国の航空機投資家に売却して5000万ドル以上を調達したと報じた。
中国メディアの報道によると、許氏は6000万ドルの価値があると推定される60メートルのヨットと、エアバスのプライベートジェット機も所有している。
ロイターは許氏のヨットとプライベートジェットの保有を独自に確認できなかった。
許氏の純資産は2017年の約450億ドルから減少しているものの、先月発表された中国の長者番付「胡潤百富榜」2021年版では依然として113億ドルと推計されている。
しかし、許氏が個人資産の一部を売却する動きがあったとしても、調達した資金は南アフリカの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する3000億ドル超の恒大の負債に比べれば微々たるものだ。