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金融庁、スルガ銀を一部業務停止に 投資用不動産向け融資で6カ月

2018年10月05日(金)20時41分

 10月5日、金融庁は、スルガ銀行に対し、銀行法に基づき新規の投資用不動産向け融資を6カ月間停止するよう命じたと正式発表した。写真は都内で2012年10月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 5日 ロイター] - 金融庁は5日、スルガ銀行<8358.T>に対し、銀行法に基づき新規の投資用不動産向け融資を6カ月間停止するよう命じたと発表した。立ち入り検査などを通じ、投資用不動産向け融資で不正が横行、ガバナンス(企業統治)も機能不全に陥っていたと判断した。金融庁は、スルガ銀の不正を見抜けなかった反省から、情報収集・分析の高度化に取り組む。

金融庁は、新規の投資用不動産向け融資に加え、自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンも10月12日から2019年4月12日まで停止するよう命じた。経営責任の明確化に加え、不適切融資の全件調査を求めた。

金融庁は、スルガ銀によるシェアハウスやその他の投資用不動産向け融資について、これに関わる相当数の営業職員が不動産関連業者による不正行為を明確に認識、もしくは相当の疑いを持ちながら営業していたと指摘した。

スルガ銀の創業家・岡野家の関係企業への融資について、金融庁はスルガ銀が保有資産の実態把握、具体的な返済計画の検証などをしていなかったと指摘。また、既存顧客を新たに反社会的勢力と認定しても、既存のカードローンの与信枠を閉鎖せず、枠内でローン残高が増えている事例などもあったとした。

金融庁は、創業家が実質的に支配する中でスルガ銀が営業優位の組織になる一方、創業家の後ろ盾を得た特定の執行役員が営業職員を圧迫した結果、法令順守を軽んじ不正行為をまん延させる企業文化につながったと認定した。

行政処分を受けて、記者会見したスルガ銀の有国三知男社長は、今後も引き続きリテールに特化したビジネスを進める考えを示した。現時点で、資本提携の話は具体的にはないとし、将来的には「企業価値が上がるとすれば、その選択肢は否定しない」と話した。

<投資用不動産向け融資、実態調査へ>

スルガ銀の処分を踏まえ、金融庁は金融機関の投資用不動産向け融資に関するアンケート調査を月内に始める。立ち入り検査中の一部の地域金融機関では、すでに投資用不動産向け融資についても調べている。

金融庁の幹部は5日の記者説明会で「検査を通じ、不正を早期に発見できなかったことは反省しなければならない」と述べた。ビジネスモデルの拡大や変化に潜む法令遵守意識の欠落を見逃さないよう、情報収集やリスク分析を高度化する方針を示した。

*内容を追加しました。

(和田崇彦)

ロイター
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