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出口の先も非伝統的金融政策が重要=黒田日銀総裁
6月4日、日銀の黒田総裁は本店で講演し、先進国の経済が中長期的に停滞するならば「金利正常化後も名目金利が非常に低い水準に低下しやすくなる」と指摘。写真は黒田総裁(2015年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 4日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は4日に本店で開かれた国際コンファランスで講演し、先進国の経済が中長期的に停滞するならば「金利正常化後も名目金利が非常に低い水準に低下しやすくなる」と指摘。
「出口の先においても現在行っている非伝統的金融政策の役割が重要」と述べ、各国の大規模融緩和が長期継続する可能性を示唆した。
黒田総裁は各国の中央銀行が直面している論点として、1)非伝統的金融政策の効果と波及経路、2)原油価格低下と予想インフレ率の関係、3)先進国各国の金融政策の方向性の違いがもたらす新興国などへの影響─を挙げた。
また先進国各国がリーマンショック後、いずれも大規模な資産買い入れによる非伝統的な金融政策を実施してきたにも関わらず、景気回復が緩やかなものにとどまっていると指摘。サマーズ元米財務長官らの提唱する「長期停滞論」について触れた。
その上で中銀の中長期的な課題として、1)緩慢な景気回復が経済の供給サイドに与える影響をどの程度考慮すべきか、2)低い自然利子率のもとで望ましい金融政策手段は何か、3)経済が中長期にわたって停滞する場合、望ましい金融政策と財政政策、構造改革の組み合わせ─を列挙した。
総裁は「これらの課題はすぐに確固たる答えが見つかるものでない」としつつ、ピーターパンの「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」との言葉を引用し、「大切なことは、前向きな姿勢と確信」と結んだ。
(竹本能文)