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スカイマークが再生計画案提出、大口債権者の動向焦点に
5月29日、民事再生手続き中のスカイマークは東京地裁に再生計画案を提出した。100%減資の実施後に投資会社インテグラル(東京都千代田区)やANAホールディングスなどに対して総額180億円の第三者割当増資を行い、新たな株主の元で再生を目指す。羽田空港で2014年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 29日 ロイター] - 民事再生手続き中のスカイマークは29日、東京地裁に再生計画案を提出した。100%減資の実施後に投資会社インテグラル(東京都千代田区)やANAホールディングス<9202.T>などに対して総額180億円の第三者割当増資を行い、新たな株主の元で再生を目指す。
ただ、再生計画をめぐっては、米航空リース会社のイントレピッド・アビエーション
<弁済原資155億円>
再生案の認可決定後の出資比率はインテグラルが50.1%、ANAHDが16.5%、日本政策投資銀行と三井住友銀行<8316.T>が折半出資で組成した投資ファンド「UDSエアライン投資事業有限責任組合」が33.4%。出資額180億円のうち、155億円を弁済原資に充てる。
スカイマークの届出債権額は約3089億円。100万円までの債権は100%弁済、100万円を超える部分は5%弁済とした。ただし、現時点で未確定の債権もあるため、債権額等が確定すれば追加弁済も実施する予定。
スカイマークの取締役は6人とし、3人をインテグラルが、2人をANAHDが、1人をUDSがそれぞれ指名する。インテグラル側から会長を、UDS側から社長を出す予定。スカイマークの従業員の雇用は原則維持する。
スカイマークはANAHDの100%子会社、全日本空輸(全日空)と関係官庁の許可が得られれば、コードシェアを実施する予定。
スカイマークは5年以内の再上場をめざす。
<大口債権者間で温度差>
今後の焦点は大口債権者の動向だ。再生計画を実施するためには、債権者集会で債権総額の2分の1以上の同意と、債権額に応じた議決権の過半数の同意を同時に得る必要がある。届出債権額ベースでイントレピッドは約1150億円強、エアバス
ただ、届出債権額は債権者が主張する債権額であり、「2社ともに未確定の部分がかなり多い」(申立人代理人の中原健夫弁護士)という。今後、債権が確定した部分は100%の議決権を与えられるが、債権の有無を争ったまま債権者集会を迎える場合は東京地裁で議決権を決定するため、必ずしも債権者が主張する金額ベースの議決権が与えられるとは限らない。
中原弁護士は「賛成いただけるように全力で協議を重ねていく」と強調したが、同時に両社から「再生計画案の提出を延長してもらえないかという意向があった」ことも明らかにした。「イントレピッドはその意向が強く、エアバスは意向はあったが、そこまで強くなかった」という。両社とも再生案に「明確に反対しているわけではない」としているものの、先行き不透明な部分が残った格好だ。
<インテグラル代表「ANAは努力を」>
関係筋によると、イントレピッドとエアバスが再生案に待ったをかけた背景には、ANAとの間で進めていた機材調達をめぐる思惑もある。
事情に詳しい複数の関係筋によれば、両社はスカイマークの経営破綻でこうむった損失をANAとの商談で穴埋めするつもりだったが、ANAに断られ、その思惑が狂った。このため両社には、賛同取り付け後、同案提出の直前に「はしごを外された」との不信感がANAに対して募ったという。
これに対して、ANAHDの長峯豊之上席執行役員は「機材調達は中長期的な経営戦略や財務の状況、経済合理性などを総合的に判断して決定していく」のが基本的な考え方として「スカイマークのスポンサーになったことに起因して機材を調達するという直接的な関係はない」と強調した。
長峯上席執行役員はエアバスとの関係について「長きに渡って機材調達や整備などを通じて非常に友好的な関係にあると思っており、この関係は今後も継続すると信じている」と指摘。イントレピッドとの商談については「拘束力を持つような約束はしていない。イントレピッドの主張については戸惑いを感じている」と述べ、「あくまで機材の必要性や経済合理性などを検討した結果、協議が整わなかった」と説明した。
インテグラルの佐山展生代表は、両社から賛同を得ることに楽観的な見方を示しつつも、「賛同を得られるためにはANAの努力が不可欠だ」と注文を付けた。万が一、否決されたとしても、資金繰りには問題ないという。
*内容を追加して再送します。
(志田義寧 白木真紀 編集:山川薫)