ニュース速報

世界的に株安、米逆イールド懸念でアジア・欧州でも売り広がる

2018年12月06日(木)05時05分

[ロンドン 5日 ロイター] - 米長期債利回り低下のほか通商問題を巡る懸念の再燃を受け、米景気悪化が懸念される中、5日の取引では世界的に株価が下落した。

4日の米株式市場は主要指数がそろって3%を超えて下落して終了。5日はジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領の死去を受け「国民追悼の日」に指定されたため米株式・債券市場は休場となっているが、4日の株価急落の影響はアジア、欧州市場に広がり、MSCI全世界株指数<.MIWD00000PUS>は0.4%安となっている。

米株式市場は3日は米中通商戦争の「休戦」への期待から上昇したが、トランプ米大統領は4日、中国との通商交渉が決裂すれば同国からの輸入品に追加関税を課す姿勢を表明し、「私はタリフマン(関税の男)だ」などとけん制。

トランプ氏のこうした発言のほか、米国債利回りの低下が株価下落を誘発し、MSCIアジア太平洋株価指数(日本除く)<.MIAPJ0000PUS>が1.5%下落したほか、上海総合指数<.SSEC>は0.6%安で5日の取引を終えた。

欧州でも株価は下落し、STOXX欧州600種<.STOXX>は1.16%安で取引を終えた。

ジャナス・ヘンダーソンのマルチアセット部門責任者、ポール・オコナー氏は、「来年の相場について、一段と上昇するとの予想の大方は後退している」とし、「年初は強気が続くという予想から、『居心地の悪い』中立という見方にシフトした」としている。

米債券市場では長期債利回りが短期債利回りよりも速いペースで低下しており、利回り曲線は平坦化。現時点で米10年債利回りは2年債利回りを11ベーシスポイント(bp)上回っており、長短逆転(逆イールド)は発生していないが、差は約10年ぶりの水準に縮小している。

2年債利回りが10年債利回りを上回るなど、いわゆる逆イールドの発生は景気後退の予兆とされる。JPモルガン・アセットマネジメントのストラテジスト、タイ・フイ氏は「米市場の下落、および利回り曲線の平坦化は、経済成長の勢いが最大の懸案事項として台頭していることを示している」と述べた。

経済活動の鈍化を巡る懸念から原油価格も軟調。北海ブレント先物は一時1%下落した。

ロイター
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