コラム

イエメン入門に役立つ情報源

2010年01月07日(木)17時48分

 突如、世界の注目国家に躍り出たイエメン。昨年のクリスマスを境に、アメリカはこの国に大きな関心を払うべきであることを思い知らされた。下着に爆弾を隠して旅客機に乗り込んだ「パンツ・ボマー」の背後には、イエメンを拠点とするアルカイダ系武装組織「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)の関与があったと、バラク・オバマ大統領は言った。

 だが米機爆破テロ未遂の後2週間経ってわかったのは、少なくともワシントンのメディアや政府関係者には、イエメンをよく知る人間はほとんどいないということだ。そんなお寒い現状を改善するため、基礎的で質の高いイエメン情報源を集めてみた。

■まずは、本誌(米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」)サイトにブログをもつ米ジョージ・ワシントン大学のマーク・リンチ准教授(政治学)の最新記事。米政府がイエメンに対して抱く群衆心理を鋭く総括し、批判している。

■イエメンの英字紙サイト、「イエメン・オブザーバー」「イエメン・タイムズ」

■新米安全保障研究センター(CNAS)のリチャード・フォンテーン上級研究員とアンドルー・エクサム研究員が09年11月に発表した論文「イエメンの不安定性と米国益に対する脅威」が、政治ブログ「オン・ザ・ナイフズ・エッジ」に掲載されている

 2人は1月5日付けのロサンゼルス・タイムズ紙にも、対イエメン強硬策を求める意見記事を寄稿している

■英王立統合軍事研究所(RUSI)の「RUSIジャーナル」が昨年12月に掲載した、元外交官アリステア・ハリスらによるイエメン情勢分析。ただし閲覧は購読者のみ。

■米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」のサイトに掲載された「国境の混乱」。中東・北アフリカ専門家のジュースト・ヒルターマンが、隣国のサウジアラビアがイエメン国内で戦う戦争を解説している。

■米ブルッキングズ研究所の中東専門家ブルース・リーデルは、イエメンにも詳しい

■「アラビア半島のアルカイダ」については、英BBCニュース・サイトの紹介記事がわかりやすい。

■米クリスチャン・サイエンス・モニター紙や英シンクタンクのチャタム・ハウスなどに執筆しているジニー・ヒルは、西側で最高のイエメン・リポーターの一人。彼女の記事はここで

■イエメン・オブザーバーの元編集者ブライアン・オニールとフルブライト奨学生としてイエメンに留学した経験があるグレゴリー・ジョンセンのブログ「ワク・アルワク」。関連ブログの「ザ・マジリス」もイエメンに詳しい。

──アニー・ラウリー
[米国東部時間2010年01月06日(水)12時28分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 7/1/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story