コラム

ムーア監督がチャベスの相談役に?

2009年10月27日(火)16時14分

pass061009.jpg

意気投合? ベネチア国際映画祭に出席し、ムーア監督(左)と会談するチャベス
(09年9月、ベネチア) Reuters


 アメリカの映画監督マイケル・ムーアには、社会主義者までもがうんざりしているようだ。

 ムーアは最近、米ABCテレビの「ジミー・キンメル・ライブ」に出演。ベネズエラのウゴ・チャベス大統領と一緒に酒を飲んで酔っ払い、国連での大統領演説の執筆を手伝った、と冗談を飛ばした。もちろんチャベスの支持者は、こんな事実を認めてはいない。

 チャベス支持者として有名な写真家エバ・ゴリンジャーは、自身のブログで次のように語っている。


 ムーアは番組のインタビューで、最後まで有頂天だった。チャベスに次の国連総会で行うスピーチについてアドバイスを求められ、以前の国連総会で「ブッシュ前米大統領を『悪魔』と呼んだことを謝罪するべきだ」と答えた。そして今回は「希望」について語るようにチャベスに求めた。

 ちょっと待て、マイケル。ブッシュを守ろうというのか! 映画『華氏911』の脚本、監督、撮影をしたのはあなただろう? なるほど。あなたはブッシュを批判するけど「アメリカ人以外」が同じことをすると、急に愛国的になるというわけだ。


 彼女以外からも憤りの声はある。彼らの激しい怒りは、チャベスが酒を飲んだ、しかもテキーラを飲んだするムーアの発言に向けられている。さらに彼らは、チャベスがスピーチライターやテレプロンプター(原稿を電子的に表示する装置)を使っているというムーアの考えに、著しく気分を害した。

 ゴリンジャーは言う。「私たちは知っている。誰も彼のスピーチなど書いてはいない。彼自身もだ! 彼は心のままに、率直に語る。テレプロンプターに映った原稿を読み上げたりはしない!」

 ムーアはこれまで、多くのあだ名で呼ばれてきた。だが「ジョージ・W・ブッシュの支持者」と呼ばれるのは初めてだろう。

――ボビー・ピアース
[米国東部時間2009年10月26日(月)13時45分更新]


Reprinted with permission from FP Passport, 27/10/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:FRB当局者、利下げの準備はできていると

ワールド

米共和党のチェイニー元副大統領、ハリス氏投票を表明

ワールド

アングル:AI洪水予測で災害前に補助金支給、ナイジ

ワールド

アングル:中国にのしかかる「肥満問題」、経済低迷で
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 3
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 4
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 5
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 10
    川底から発見された「エイリアンの頭」の謎...ネット…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 4
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 5
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 8
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 9
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story