アステイオン

アステイオン・トーク

インターネット上の「黒歴史」は削除できる...デジタル時代に紙で文字を残し続ける意味とは?

2024年08月28日(水)11時05分
小川さやか+トイアンナ+鷲田清一+田所昌幸(構成:伊藤頌文)

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左より田所昌幸氏、小川さやか氏、トイアンナ氏、鷲田清一氏


トイアンナ 実は祖父の家の本棚が二重扉になっており、過去に左翼活動家であったことを偶然知りました。それは紙で残っていたからこそ、私は知ることができたのです。これがインターネット上であれば、おそらく祖父が活動家であった事実は掴めなかったはずです。

ログが残るのはむしろ紙媒体です。『アステイオン』には今後も「残す機能」を担ってほしいですし、ぜひ後世に歴史を作っていってほしいと思っています。

田所 逆説的ではありますが、「紙媒体のほうが残る」というのは事実だと思います。しかし、その記録が「残る値打ちのあるもの」でなければいけません。

『アステイオン』も皆さんの本棚の裏側に入れておいていただくと、100年後に誰かが発見してくれるかもしれません(笑)。そういう意味では、100年後にも読み返されるようなものを作るための「エール」と受け止めました。

本日は皆さま、お集りいただき、本当にどうもありがとうございました。


小川さやか(Sayaka Ogawa)
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。1978年愛知県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科一貫制博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。専門は文化人類学、アフリカ研究。著書に『都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社)、『チョンキンマンションのボスは知っている─―アングラ経済の人類学』(春秋社)、『「その日暮らし」の人類学―─もう一つの資本主義経済』(光文社新書)など。

トイアンナ(Anna Toi)
恋愛・キャリア支援ライター。1987年生まれ。慶應義塾大学卒業後、外資系企業にてマーケティングに携わり、フリーライターに転身。専門は就活対策、キャリア、婚活、マーケティングなど。著書に『改訂版 確実内定』(KADOKAWA)、『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)、『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)、『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)など多数。

鷲田清一(Kiyokazu Washida)
大阪大学名誉教授、サントリー文化財団副理事長。1949年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。哲学・倫理学専攻。関西大学教授、大阪大学教授、大阪大学総長、京都市立芸術大学理事長・学長などを歴任。著書に『分散する理性』、『モードの迷宮』(ともにサントリー学芸賞)、『人称と行為』、『だれのための仕事』、『〈ひと〉の現象学』、『メルロ=ポンティ』、『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)、『所有論』など。

田所昌幸(Masayuki Tadokoro)
国際大学特任教授、アステイオン編集委員長。1956年生まれ。京都大学法学部卒業。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス留学。京都大学大学院法学研究科博士課程中退。博士(法学)。姫路獨協大学法学部教授、防衛大学校教授、慶應義塾大学法学部教授を経て、現職。慶應義塾大学名誉教授。専門は国際政治学。主な著書に『「アメリカ」を超えたドル』(中央公論新社、サントリー学芸賞)、『越境の国際政治』(有斐閣)、『社会のなかのコモンズ』(共著、白水社)、『新しい地政学』(共著、東洋経済新報社)など。


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 『アステイオン』100号
  特集:「言論のアリーナ」としての試み──創刊100号を迎えて
  公益財団法人サントリー文化財団
  アステイオン編集委員会 編
  CCCメディアハウス


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