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地球に帰還した古川聡宇宙飛行士、「軌道上記者会見」で2度質問した筆者が感じたその人柄と情熱の矛先
クルードラゴン宇宙船運用7号機(Crew-7)船内の古川聡宇宙飛行士らクルーの様子 JAXA/NASA
<2回目となる宇宙飛行、ISS滞在中に古川宇宙飛行士が達成したミッションとは? 宇宙空間からの記者会見で古川氏に2度質問の機会を得た筆者が受けた印象とあわせて紹介する>
ISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在していたJAXA宇宙飛行士の古川聡さんが、12日午後6時47分頃(日本時間)、約半年間のミッションを終えて地球に帰還しました。
古川さんら4人の飛行士を乗せた帰還用の宇宙船「クルードラゴン」は、同日午前0時20分頃(日本時間)にISSを離脱し、約18時間半かけて地上に向かいました。大気圏に突入後、パラシュートを広げてアメリカ・フロリダ州の沖合に着水する状況は、JAXAのYouTubeチャンネルなどでライブ配信されました。
回収船によって引き揚げられたクルードラゴンから出た古川さんは、カメラやスタッフに手を振って元気な様子を見せました。
2011年以来2回目となる宇宙飛行、ISS滞在で、古川さんはどのような任務を遂行したのでしょうか。筆者がインタビューを通して感じた人柄とともに紹介します。
宇宙空間での収穫
今回の滞在で、古川さんは「宇宙でしか見つけられない答えが、あるから」をキーメッセージに、「きぼう」日本実験棟で実験や技術実証を行いました。成果は将来の月探査や火星探査に役立つだけでなく、地上の私たちの暮らしにもつながると言います。
たとえば、ISSではNASAが開発した水再生システムを使って、尿や除湿で回収された水分を飲料水に再生してクルーが使っています。JAXAは日本独自の技術を用いた、より小型かつ省電力、高再生効率で、メンテナンスのしやすい次世代水再生システムの開発を進めており、実証実験のために小型の実証機をISSに設置しています。星出彰彦宇宙飛行士、若田光一宇宙飛行士から引き継がれたミッションは最終段階を迎え、古川さんは実証機から、地球に持ち帰って分析する再生水サンプルを注意深く回収しました。
将来の有人宇宙探査では、地上から運ぶ飲料水の量を大幅に減らしたり、現地調達したりすることが必要です。ただし、微小重力環境では液体中の気泡がいつまでも水中に留まるため、水処理システムにどのような影響を与えるのかを調査しなければなりません。地球で実験しても地球の重力下ではこの状態が再現できないため、実際に宇宙空間で模擬実験をして確認することが重要になってきます。
また、宇宙空間という極限状態に耐えうる高効率の水処理システムは、地球上で水資源が限られている干ばつ地帯や山岳地帯、被災地などで大活躍することも期待できます。
その他にも古川さんは、地球上と同じ1Gと微小重力環境下での培養細胞の様子の違いを顕微鏡によってリアルタイムで観察したり、微小重力環境を活用したiPS細胞からヒトの人工臓器を作る技術に寄与する基礎実験を行ったりするなど、予定されていた12のミッションをクリアしました。
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