コラム

「料理をする男性」ほど超加工食品が好き? 日本人と超加工食品の最新事情

2023年12月19日(火)16時15分

今回、研究チームは、④の高度に加工された食品(超加工食品)について、「マーガリン、ソーセージ、プロセスチーズ、冷凍ピザなど、元の植物または動物源として認識できなくなる程度に加工された、工業的に配合された多成分の混合物」と定義しました。

そのうえで2018年10月から12月にかけて、全国32都道府県で調査に協力してくれる18~80歳の健康な成人を募集しました。参加者は、各性別および年齢層(18~29歳、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70~80歳)ごとにほぼ同数の参加者が含まれるように選択されました。栄養士と住んでいる人、医師から栄養カウンセリングを受けている人などは除外され、参加できるのは1世帯につき1名のみとしました。

調査はアンケート方式で、簡単な食事履歴、食品選択の価値観、栄養の知識、料理と食事のスキル、および食行動の特性に関するものです。

食事履歴は、前月の食習慣に関する4ページの自己記入式アンケートを422人の地元の研究栄養士が徹底的にチェックした後に、研究チームによって超加工食品の摂取量などが計算されました。

食品選択の価値観は「毎日どのような食品を買うか食べるかを決めるとき、次のそれぞれはどれくらい重要ですか?」と25の質問をして、5段階評価をしてもらいました。回答内容から、参加者が入手しやすさ、利便性、健康・体重管理、伝統、感覚的魅力、オーガニック、快適さ、安全性の8つの要素をどれくらい重要視しているかを評価しました。

栄養の知識は、食事の推奨事項、栄養源、毎日の食品の選択、食事と病気の関係、食品ラベルの見方の5セクション・143項目からなる自己記入式アンケートを行いました。各項目で正答すると1点与えられるため、スコアが高いほど栄養知識のレベルが高いことを示します。

料理スキルに関する質問 (14項目) では調理方法や食事の準備について、食事スキルに関する質問 (19項目) では、食事計画と準備、買い物、予算構成、臨機応変さ、ラベルの読み方や消費者意識について問われました。 参加者は、各スキルの上手さを1(非常に悪い) から 7 (非常に良い) までの7段階で自己評価しました。

参加者がスキルを使用しなかった場合は、スコア0(まったく使用しない/めったに使用しない)というオプションを選択できるようにしました。したがって、調理スキルのスコアは0~98、食事スキルのスコアは0~133の範囲で測定されました。

食行動の特性は、日本語版の成人摂食行動アンケート(AEBQ)を用いました。35項目の自己記入式アンケートで、4つの食物アプローチ尺度 (空腹感、食物反応性、感情的過食、食事を楽しむこと) と4つの食物回避尺度 (満腹感反応性、感情的少食、食べ物へのうるささ、食事の遅さ)を、「まったく同意しない」から「非常に同意する」までの5段階評価で回答してもらい測定しました。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事の反対票、注目集めるもFOMC結果

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

前場の日経平均は反発、最高値を更新 FOMC無難通

ワールド

ガザ情勢は「容認できず」、ローマ教皇が改めて停戦訴
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story