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規制と開発の「いたちごっこ」...大麻グミ問題から見る、危険ドラッグ取締りと活用の歴史
合成化合物HHCHを含む「大麻グミ」のイメージ。12月2日からHHCHの販売や所持・使用が禁止に Creativan-Shutterstock
<大麻グミや日大アメフト部の違法薬物事件が取り沙汰されているが、諸外国でも薬物乱用が深刻な問題となっている。麻薬成分を含む薬物の歴史、良い面と悪い面に関する最新の知見を概観する>
科学技術の中には、社会に取り入れられると私たちの生活を向上させる面と、取り扱い次第では脅威となる面の両方を持つものがあります。医療用麻酔や鎮痛薬として人々の役に立つ一方で、依存性があり薬物乱用で本人の健康と社会に深刻な悪影響を及ぼす可能性がある麻薬はその最たるものでしょう。
大麻や覚醒剤などの規制薬物やそれらとよく似た成分を持つ危険ドラッグ(※注)は、スマホ時代になって情報収集や受け渡しが容易になったなどの理由で、一般人への広がりが社会問題となっています。
※注:かつては法で規制されていないことから「脱法ドラッグ」「合法ドラッグ」と呼ばれていたが、2014年からは厚生労働省が公募を経て「危険ドラッグ」の名称を使うようになった。専門家の間では「新規向精神薬」の用語も使われる。
日本大アメリカンフットボール部の寮から覚醒剤と乾燥大麻が見つかった違法薬物事件では、8月の発覚以来、11月末には麻薬特例法違反容疑で3人目の逮捕者、12月1日には書類送検者も現れました。事態を重く見た大学当局は現在、アメフト部の廃部も含む審議を続けています。
大麻の成分で規制されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)に類似した合成化合物HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を含むいわゆる「大麻グミ」は、11月4日に東京都立武蔵野公園(小金井市)で開かれた祭りに来場した成人男性が配り、これを食べた10~50代の男女5人が嘔吐などの体調不良を訴えて病院に搬送されたことをきっかけに問題化しました。
後の調査で、今年になってから北海道、東京、大阪、愛知などで、大麻グミを食べた人が、意識不明、動悸、嘔吐、手の痺れ、体の震えなどを訴えて病院に搬送されるケースが相次いで発生していたことが判明しました。
厚生労働省は先月22日、問題発覚から異例とも言える速さでHHCHを医薬品医療機器法(薬機法)に基づいて指定薬物に追加し、10日後の12月2日からHHCHの販売や所持・使用が禁止になりました。
さらに武見敬三厚生労働相は1日の閣議後記者会見で、薬機法の「包括指定」制度でHHCHと似た構造の物質をまとめて規制する方針を明らかにしました。早ければ24年1月にも類似物質を含む商品の所持や使用、流通が禁止される見込みです。
危険ドラッグは、なぜ包括的な指定で違法とする必要があるのでしょうか。麻薬成分を含む薬物の歴史と、良い面と悪い面に関する最新の知見を概観しましょう。
3つに大別される危険ドラッグ
規制薬物や、現在は規制されていないものの危険ドラッグとみなされているものは、摂取したときの効果から①興奮(アッパー)系、②抑制(ダウナー)系、③幻覚系に大別されます。代表例は、①は覚醒剤やコカイン、②は大麻やアヘン、ヘロイン、③はマジックマッシュルームやLSDなどです。
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