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月の裏側で巨大な発熱体を発見 35億年前の月は地球環境に似ていた可能性が指摘される
花崗岩とは、神社の鳥居や墓石に使われる「御影石(みかげいし)」のことです。マグマが火山として一気に噴出するのではなく、ゆっくりと冷えて固まることで形成されます。地球では、巨大なマグマ溜まりが複数の火山にマグマを供給しながら残留物中に多くのトリウムやウランが濃縮されていき、残りものが冷えて花崗岩に変化するケースも観察されています。
花崗岩と放射性元素の関係の特徴は、私たちの身近でも見られます。日本では、花崗岩が広く分布している西日本のほうが東日本よりも自然放射線が多いことが知られています。花崗岩中の放射性元素の中でもトリウムは半減期が140億年と長いため、高濃度のトリウムを含む花崗岩は何十億年間にもわたって放射線(α線)と崩壊に伴う熱を放出し続けます。研究者たちはコンプトン・ベルコビッチ地域でも同じことが起きていると考えたのです。
ただし、月の地下に巨大な花崗岩の塊があるとすると、別の謎に説明をつけなくてはなりません。というのも、花崗岩は地球ではありふれた岩石ですが、太陽系内では地球以外の星では巨大な岩塊を作ることは不可能とされています。花崗岩の形成には、大量の水や地球のようなプレートテクトニクスが必要と考えられてきたからです。
「月に巨大な花崗岩」の2つの仮説
実際に、1971年に月面着陸したアポロ14号が持ち帰った「月の石」の一部で花崗岩の痕跡が見つかった時は、「月の石ではありえないので、この石は大昔に地球から月に飛んでいった隕石なのではないか」という議論も起こりました。
そこで、シーグラー博士らは、月に巨大な花崗岩があることを説明するために、①コンプトン・ベルコビッチ地域が形成された35億年前の月は地球に似た環境だった、②花崗岩の形成には今までに知られていない方法がある、という2つの仮説を立てました。
前者の場合は、過去の月には局所的だとしても大量の水があったことが示唆されます。後者の場合は、「花崗岩がマグマから生成される」という現在受け入れられている説とかつて競った「岩石が高温高圧にさらされると、液体状態のマグマを経ずに花崗岩に変成する」という説が復活するかもしれません。ただし、隕石の影響を受けやすい月面だけでなく、地下深くに巨大な花崗岩が形成できることを説明するためには、さらなる議論が必要です。
今回の研究成果が正しければ、火星や金星といった岩石惑星の研究や地質学そのものを大きく発展させる可能性があります。解明のためには月探査衛星によるサンプルリターンだけでは足りず、月面基地を作った上での掘削が必要になりそうです。
アルテミス計画では、30年頃の月面基地建設を目指しています。順調に計画が進めば、10年内に35億年前の月の姿が明確に説明できるようになるかもしれません。

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