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生命の「地球外起源説」を強力サポート 隕石の再分析でDNA、RNAの核酸塩基全5種の検出に成功
「生命の種は宇宙線で死滅するのではないか」と否定的に見られた時期もありましたが、「大気圏突入の過熱や衝撃に微生物は耐えられる」との研究論文も数多く発表されるようになりました。とりわけ、2008年から15年にかけて、国際宇宙ステーションの外で3回の宇宙生物実験(EXPOSE)が実施され、隕石に似せた物質の中に多様な生体分子や微生物を封じ込め、1年半の間、宇宙空間の厳しい環境にさらされました。いくつかの生物が生き残ったことから、地球外起源説の実験によるサポート例となりました。
5種類の核酸塩基を1つの隕石から検出
今回の北大グループの研究成果を詳しく見てみましょう。
分析した隕石は、いずれも「炭素質隕石」です。
隕石は、宇宙空間から地球に飛来した固形物質のことです。「始原的な隕石」と「分化した隕石」の2つに大別することができます。
「始原的な隕石」は、46億年前に太陽系ができた頃の物質をそのまま集めた「最古の太陽系物質」と考えられます。対して「分化した隕石」は、一度全体が融けて変成作用を受けたものです。
始原的な隕石のうち、金属をほとんど含まず、炭素や水といった揮発性の成分を多く含むものを炭素質隕石(炭素質コンドライト)と呼びます。
今回は「マーチソン隕石」「タギッシュレイク隕石(2000年、カナダで発見)」「マレー隕石(1950年、アメリカで発見)」の3種の炭素質隕石を使用し、超高感度の計測装置で再分析しました。この計測装置では、サンプル中に含まれる1ピコグラム(1兆分の1グラム)オーダーの塩基が検出・同定できるといいます。
すると、生命の遺伝情報を継承するDNAやRNAに使われているアデニン、チミン(DNAのみ)、グアニン、シトシン、ウラシル(RNAのみ)の5種類の核酸塩基が、1つの隕石からすべて検出できました。これまでは、炭素質隕石から見つかったことがある核酸塩基は、グアニン、アデニン、ウラシルの3種類だけでした。
とりわけ、ピリミジン核酸塩基(シトシン、チミンなど)が最大ppb(10億分の1)レベルの濃度で初めて検出されたことは大きな成果です。この存在濃度は、太陽系が形成される前に星間分子雲に存在していたと予測されている濃度に近いと言います。
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