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生命の「地球外起源説」を強力サポート 隕石の再分析でDNA、RNAの核酸塩基全5種の検出に成功
最新の分析技術で再分析したのは、3種の炭素質隕石(写真はイメージです) dottedhippo-iStock
<北大低温科学研究所・大場康弘准教授らの研究グループによる超高感度の計測装置を用いた分析は、生命の地球外起源説を補強する成果を導き出した>
地球の生命はどこから来たのでしょうか。地球内が起源という仮説と宇宙から飛来したという仮説があります。
北海道大低温科学研究所の大場康弘准教授らの研究グループは4月27日、1969年にオーストラリアで見つかった「マーチソン隕石」など3種の隕石を最新の分析技術で改めて調べた結果、生物の遺伝情報を伝える「核酸」を構成する塩基、全5種類の同時検出に成功したと発表しました。この研究は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。
今回の研究は、地球の生命の起源は、約40億年前に宇宙から飛来したという地球外起源説を補強するものと考えられます。
原始地球は「マグマオーシャン」?
生命を誕生させるには、大量の有機分子、とくにアミノ酸が必要です。
1936年に『地球上における生命の起源』(Vozniknovenie zhizni na zemle)を記したロシアの生化学者アレクサンドル・オパーリンは、初期地球の大気中にあった有機分子が海洋に蓄えられて濃厚な「生命のスープ」を作り、さらに有機分子は重合して大きな分子になって、やがて細胞内に隔離されたものが最初の生命になったと考えました。
1954年に行われた「ミラーの実験」は、オパーリンの仮説に則った実験です。初期地球大気中には水、水素の他にメタン(CH4)、アンモニア(NH3)が豊富に含まれていて炭素源や窒素源になっていたと仮定して、生命誕生のきっかけと考えられていた落雷を模した雷放電実験を行いました。この実験を1週間続けると、容器の中にはアミノ酸が合成されました。
けれど、1980年代頃から「CH4やNH3に富んだ大気」は初期地球大気としては考えにくいと分かりました。さらに、誕生したばかりの原始地球は、熱いマグマで覆われていた「マグマオーシャン」の状態だったという説が有力になりました。
その結果、「地球内で生命が誕生したならば、初期地球の海底で鉄と火山ガスや熱水が反応して有機分子が生成された」と考える「海底熱水説」が提唱されました。この場合の炭素源と窒素源は二酸化炭素(CO2)と気体の窒素(N2)です。
地球外起源説の歴史
対して、生命の起源を地球外に求める仮説は、生命の種が天上の神の世界から播かれたと考える有史以来の信仰にも現れる説です。「パンスペルミア説(宇宙汎種説)」と呼ばれるこのアイディアは、アリストテレスの生命の「自然発生説」で下火になります。その後、19世紀にパスツールによって自然発生説が完全に否定されて以来、20世紀になって「生命の種は隕石や彗星に運ばれて地球に届けられた」という現実的な仮説として再びクローズアップされます。
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