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Editor's Note

普天間、捕鯨、北朝鮮

2010年02月24日(水)00時39分

 つぶやき風に言えば、ロイヤルホストで夜食なう。「なう」って何だ。何度書いても恥ずかしい。

 普天間基地の移設問題で、豆まきの前後から気になるニュースがぽつりぽつり。1月28日、ニューヨーク・タイムズが社説で、オバマ政権は鳩山首相に対して「柔軟さと忍耐」を示してほしいと主張した。鳩山が解決策を提示することによって、「対等なパートナー」をめざす取り組みを実践できるよう後押しすべきだと。

 そこだけ取り出すと日本に理解を示しているようにも見えるが、実際はどうか。最後の2パラグラフには、日本のニューリーダーの多くや戦後世代は日米の安全保障パートナーシップの真の価値を理解していないとか、アメリカによる保護はいまだに日本にとっては安い買い物だとか、中国の台頭を抑えたり北朝鮮への備えに同盟は不可欠だといった文句が並ぶ。

 有り体に要約すれば、日本の新政権の未熟な政治家たちは(呆れたことに)日米同盟のありがたみがわからないようだし、日米が仲違いして喜ぶのは北京の連中や金正日だから、ごちゃごちゃ言い続けるようなら適当なところで妥協してやりなさいよ、ということだろう。アメリカの国益に照らして考えれば、という視点だが、しびれを切らしたような論調が出てきたのは一つの潮目...かもしれない。

 2月1日には、米国防総省が「4年ごとの国防政策の見直し(QDR=Quadrennial Defense Review)」を発表した。普天間問題への直接的な言及は(当然のことながら)ないが、パッと見では、同盟強化をアメリカの安全保障政策の中核とあらためて強調している点、在日米軍再編をロードマップ通りに実施していくと述べている点は印象に残る。

 解読としては、1)同盟国にはこれまで以上に安全保障コストの負担を求めていく、2)同盟そのものの維持・強化を(ディテールより)優先する、3)海兵隊のグアム拠点化など再編の重点は変わらない、などが可能だろうか。都合よく解釈すれば、それらが担保されればトレードオフを打開するオプションは排除しない――。深読みしすぎか。

 2月の初めには、米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会委員長のジム・ウェブが来日した。ウェブといえば、ベトナム戦争時に海兵隊員として初めて訪れて以来、何度も沖縄に来たことがあり、また08年の大統領選では一時、オバマの副大統領候補として有力視された民主党の有力議員。

 在日米軍のグアム移転費予算は、オバマ政権の4億ドル近くの要求に対して議会上院が大幅カットを迫り、10年会計年度では3億ドルを計上することで去年の12月にかろうじて決着した。普天間問題が決着しないと11年会計年度の審議で再びもめることは必至で、ウェブの訪日はその辺の事情もあるのだろうが、担当省庁ではなく議会の重要人物が派遣されたこと、鳩山首相が期限としている5月まで残り3カ月というタイミングで訪れたことは、ちょっと気になる。ちょっと。

 オーストラリア政府が、日本が捕鯨から手を引かないなら国際司法裁判所に提訴するかもしれないと言っている件。その前にたまたま、ラッド政権の支持率が下がっているという記事を読んでいたせいか、クジラの問題と素直に受け取れない。

 ラッドといえば、気候変動のコペンハーゲン会議(12月)あたりからパフォーマンスめいた動きが目立っていたが、自らが唱える労働党の温暖化ガス抑止策が野党・保守党の唱える策より複雑でわかりにくいと評判が悪いらしい。2月2日に中央銀行のオーストラリア準備銀行が予想(と期待)を裏切って政策金利を3.75%に据え置いたことも、ローン負担や景気の悪化に苦しむ有権者の怒りを買っている。

 今年後半の総選挙まで、あと何カ月もない。今のところまだ支持率では野党を数パーセントを上回っているが、ここらでガツンと一発、国民が喝采してくれるようなことをかましておきたい...と考えても不思議はない、気がする。

 捕鯨提訴をほのめかした2日後、ラッド首相はオーストラリアが「深刻なテロの脅威に直面している」と宣言した

 朝日新聞が1面トップで、昨年5月の核実験後から秋にかけて、中国が北朝鮮に対して、核開発を断念して6カ国協議に戻るよう強い圧力をかけていたという記事を載せていた(「1面トップ」というのは死語だろうか)。内容より、なぜこれが今になって表に出てきたのかということのほうが気になる。

 北朝鮮に対して影響力をもっていることを誇示したほうが、アメリカなどに対する中国の発言力は高まる。しかし面従腹背で、北朝鮮が途中で約束を反故にしたら中国の面子は丸つぶれ。6カ国協議再開の道筋がはっきり見えるまでは黙っておこう、ということだったのか。

 もろもろ、とりあえずの感想。

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竹田圭吾

1964年東京生まれ。2001年1月よりニューズウィーク日本版編集長。

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