最新記事
医療

あのモデルナが開発、mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信

CANCER VACCINES

2024年1月25日(木)17時28分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

「効く人と効かない人がいる理由は不明」だが

この数字は今後改善するとバンセルはみる。「ワクチンが効く人と効かない人がいる理由は不明だ。免疫には解明されていないことが多い。だが毎週のように新しい研究が発表されており、私は楽観視している」

サンフランシスコのバイオ企業ジェネンテックはドイツの製薬会社ビオンテックと組んで、個別化癌ワクチンを設計している。癌免疫学部門の副社長アイラ・メルマンらのチームは5月、ネイチャー誌に論文を発表。5年生存率が12%と致死性が高いタイプの膵臓癌患者16人に対するmRNAワクチンの効果を詳解した。

ワクチンは8人の患者の体内で膵臓癌を認識するT細胞を活性化させ、治療から1年半がたった時点で再発はなかった。うち1人のケースでは、T細胞が肝臓に転移した癌細胞まで消滅させたと考えられた。一方、ワクチンに反応しなかった8人は、平均1年余りで癌が再発した。

10月、ジェネンテックは世界の80近い医療機関で第II相臨床試験の被験者260人の募集を始めた。研究の進展とともに、ワクチンの効果は確実に上がっていくだろう。

<本誌2024年1月30日号掲載>


20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガン貿易産業相が副首相に、シンガポール次期首相が小

ビジネス

ソニーG、ゲーム子会社のCEOに西野氏・ハルスト氏

ワールド

ガザ死者3万5000人超、身元未確認は1万人以上 

ビジネス

日本の変動相場制へのコミットメント、ショック吸収に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中