最新記事

米社会

9歳の少女を激しく殴り続ける少年たちの「いじめ」映像に非難殺到...大人は誰も助けず

2023年2月10日(金)18時24分
クラリッサ・ガルシア
スクールバス(イメージ画像)

イメージ画像 stu99-iStock

<1人の少女に激しく執拗に暴力をふるう少年たちのショッキングな映像が公開され、被害者の母親は対策を講じなかった学校を非難>

米フロリダ州の9歳の少女が、スクールバスの中で少年2人に激しく殴打されている様子を撮影した映像が、人々に衝撃をもたらしている。映像はクラスメートが撮影したもので、少女の両親は少年らを刑事告訴する意向を示している。

■【動画】1人の少女を取り囲んで激しく暴行を加える少年たち...大人が助ける様子はなし

被害に遭ったのは、同州ホームステッドにあるココナッツ・パームK-8アカデミーに通う3年生の少女。映像には、少年2人が少女を激しく執拗に殴打し、少女は必死に身を守ろうとしている様子が映されている。

ニューヨーク・ポスト紙が報じたところによると、暴行は約30秒間続いたが、その間、大人が介在する様子はなかった。

この出来事を受け、少女の母親は少年らを刑事告訴する意向を明らかにしている。母親は匿名で現地メディアの取材に応じ、学校管理者は校内や周辺での暴力の増加に対応ができておらず、彼女の3人の子供に対して転校してはどうかと勧めてきたと語った。

暴行を受けた少女の年長のきょうだい2人も、この学校に在校中にいじめに遭っていたという。苦情を申し立てても学校のカウンセラーや管理者は何も対処してくれなかったと、母親は主張している。

少女の父親もソーシャルメディア上で怒りをあらわにし、学校前で抗議活動を行うとしている。「集会を開き、学校と正面から対峙したい」と父親はFacebookに投稿。「安全対策の欠如は信じがたく、バスの中の安全対策の欠如はばかげている(中略)いじめは止めなければならない」と述べた。

暴行した少年らは逮捕

マイアミ・デイド学校警察は声明を発表し、暴行した少年らが逮捕されたことを認めた。「生徒の安全と幸福は最も重要だ。本学区では、自制と尊敬、そしてソーシャルメディアの責任ある利用を促すために、多大な努力をしている。保護者は、家庭でこれらの方針を強化してほしい」と同学校警察は述べた。

一方、ニューヨーク州では、昨年11月にいじめが原因で死亡した少年の母親が、ユニオン・エンディコット学区を相手取り訴訟を起こしたと、地元メディアのWBNGが報じた。

訴えによると、学校側はドマニック・ヘイワードさん(当時13)がいじめを受けていることを十分認識していた。学校には、中傷や身体的暴力についての苦情が寄せられていたが、同学区は何の措置も取らなかったという。

ヘイワードさんの母親のエイム・クロフォードさんは、「私は彼の声を代弁し、人々を支援し続け、こうしたことが起きないように、そして関心を高めるために、できる限りのことをしようとしている」と述べ、「これは大きな問題だ。メンタルヘルスは大きな問題で、人々はもっと意識し、学び、理解を深める必要がある」と主張している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中