最新記事

ヘイト動画

YouTubeのメーガン叩きは「売春宿より儲かる」市場、そのお粗末な中身

Meghan Markle Trolls Turned Hate Into Estimated $3.5M Industry on YouTube

2022年1月19日(水)18時17分
ジャック・ロイストン
メーガン妃

ヘンリー王子との結婚がヘイトの始まり?(2018年5月19日) John Sibley-REUTERS

<メーガンおよび非白人に対するヘイト動画で稼ぐユーチューバーの稼ぎと実態を、ヘイト発言の分析機関が明らかにした>

メーガン・マークルのヘイト動画で知られるユーチューバーの挑発的な動画が問題になっている。パリの自動車事故でダイアナ妃と一緒に死亡した男性について、全身が体毛で覆われていて、「ちょっとばかり、類人猿みたい」と、発言したのだ。

このお騒がせユーチューバーの名はヤンキー・ウォーリー。彼女はYouTubeにメーガンに対するヘイト動画を投稿し、2021年11月だけで2503.84ユーロ(3300ドル以上)を稼いだ。

データ分析機関ボット・センチネルが1月18日に発表した報告によると、ウォーリーの年間収入は44,000ドルを超えると見られている。

事実、金のためにメーガン・マークルを叩くYouTubeチャンネルは25に上り、合わせて年350万ドルを稼ぐ産業になっていると、ウェブデータ分析のボット・センチネルは推定する。

ウォーリーがYouTubeに投稿した挑発的な動画のリストのなかには、1997年に亡くなった当時、ダイアナ元妃のボーイフレンドだったドディ・アルファイドの「陰毛」について語った動画があった。

2021年10月11日、ウォーリーは「#meghanmarkle(メーガンマークル)と中東のつながりの謎」というタイトルの動画を投稿。そのなかで、こう語った。「ドディ・アルファイドは全く見た目が良いとは思えなかった。実際、あの人は見てくれが相当ひどいと思う。ビリヤードのボールみたいな頭をしていた」

「縮毛なんて、嫌だわ。きっと全身が縮毛に覆われているのよ。なんだか、類人猿みたいよね。どっちにしても、本当に嫌だわ」

非白人の女性を標的に

アルファイドとダイアナは1997年、パリのアルマ橋の下を通るトンネルの柱に追突した車の後部座席に一緒に座っていた。ヘンリー王子が12歳、ウィリアム王子は15歳だった。

2人はこの衝突事故で死亡し、イギリス中が前例のない悲しみに包まれ、2人の若い王子たちは子供時代にひどい傷を負った。

ウォーリーのこうしたヘイト発言をYouTubeから掘り出し、告発しているのは、ボット・センチネルの創設者クリストファー・ブジィだ。

ウォーリーがそれに対抗したこんな動画もある。「君主制の崩壊に向けて非常に危険な組織が結成された。私たちは速く行動しなければならない」というタイトルの動画では、メーガンとハリーを支持するツイッター・アカウントのリストを掲載して、視聴者を煽った。

動画のなかで、ヤンキー・ウォーリーはこう語っている。「この人たちはご存じの通り、攻撃的です。見たこともないほど攻撃的で、すぐに喧嘩腰になるWOC*です。どんな人々かご存じですよね。ヘイトが大好きな人々です」

*WOCは「非白人の女性(women of color)」の頭文字を並べた略語だ。

「この動画で、ヤンキー・ウォーリーは多くの非白人の女性のリストを共有し、チャンネル登録者やメンバーが、このリストの女性たちを攻撃目標にするよう仕向けた」と、ボット・センチネルのレポートは説明している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発、米物価指標を前に方向感欠く 個別物

ビジネス

ソニーGの今期、5.5%の営業増益見通し 1株を5

ビジネス

出光、6.5%・700億円上限に自社株買い 全株消

ビジネス

シャープ、堺ディスプレイプロダクト堺工場の生産を停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中