最新記事

児童虐待

「恐怖の館」で育った女性に称賛の声 TikTokで前向き発信

Woman Raised in 'House of Horror' Became TikTok Sensation After Rescue

2022年1月7日(金)17時06分
サマンサ・ベルリン
ジョーダン・ターピン

両親に監禁・虐待されていた13人の「ターピンきょうだい」の一人ジョーダンは、好きな歌や踊りをSNSで発信している TikTok @beth_b_20

<12人の兄弟姉妹とともに監禁・虐待され、17歳で脱出したときには電話も使ったことがなかった女性の再出発>

ジョーダン・ターピンと12人の兄弟姉妹は、カリフォルニア州の自宅に監禁され、両親からさまざまな虐待を受けて育った。2018年にようやくその家から逃げ出して警察に通報し、兄弟姉妹を家から助け出した時、彼女はまだ17歳だった。

21歳になったジョーダンは今、現実社会での生活を始めている。注目を集めているTikTokへの投稿も、彼女の新たな生活の一部だ。彼女のTikTokアカウントのフォロワーは45万2400人を超えており、投稿した動画には数百万の「いいね」がつくこともしばしば。@beth_b_20のユーザー名で開設されている同アカウントのプロフィール欄には、「好きなこと」として「人の手助けをすること、ダンス、作曲」と書かれている。

彼女が有名になったきっかけは、姉のジェニファーと共に、ABCの特別番組「恐怖の館からの脱出」に出演し、有名司会者ダイアン・ソーヤーのインタビューを受けたことだった。同番組の中で2人は、それまでずっと直面してきた過酷な状況について語った。

ジョーダンは、電話を使ったことが一度もなく、歩道が何かも知らなかった。彼女はまた、自分も兄弟姉妹も常にお腹を空かせていたこと、よく叩かれたこと、ベッドにつながれている者もいたことも説明した。

ソーヤーは本誌に対し「2人に会って感銘を受けた」と語った。「あの2人は、暗闇の中で自ら光を生み出した」

まだ保護者が見つからない子どもも

2021年のクリスマスの数日前、ジョーダンはTikTokに投稿した動画の中で、自分を支持してくれるフォロワーたちに感謝を述べた。動画は180万回視聴され、7000件を超えるコメントが寄せられた。

「皆さんの愛とサポートに心からの感謝を伝えたくて投稿した。皆さんの愛やサポートは、私にとって大きな意味がある」と彼女は動画で語った。

@beth_b_20

original sound - Jordan Turpin

ジョーダンはまた、彼女たちの支援者であるJAYC基金への寄付にも感謝を述べた。JAYC基金は、深刻な危機に直面する家族や、家庭生活が崩壊している家族を支援する団体だ。

同基金のウェブサイトの説明によれば、ターピン家の兄弟姉妹の多くは、後見人や養父母による保護を受けておらず、生きていくための支援を必要としている。

ジョーダンは、自分や兄弟姉妹の近況についても、TikTokへの投稿でフォロワーに報告をしている。

「兄弟姉妹とは頻繁に会っているし、彼らのことをとても愛している」と彼女は動画の中で説明した。「今の私たちの暮らしは理想的なものではないけれど、屋根があるし、食べ物も手に入る。そのことに心から感謝している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米5月住宅建設業者指数45に低下、1月以来の低水準

ビジネス

米企業在庫、3月は0.1%減 市場予想に一致

ワールド

シンガポール、20年ぶりに新首相就任 

ワールド

米、ウクライナに20億ドルの追加軍事支援 防衛事業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中