最新記事

中国

北京五輪ボイコットできない岸田政権の対中友好がクワッドを崩す

2021年12月9日(木)16時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
岸田首相

岸田首相 Toru Hanai-REUTERS

アメリカの北京冬季五輪外交的ボイコットに対し、岸田首相は同調していない。人権問題を制裁できる法制定も先送りし、超親中の林氏を外相に据えた岸田政権は対中友好満載だ。日本は又しても対中包囲網を崩壊させるのか。

バイデン政権が北京冬季五輪の外交的ボイコットを決定

アメリカのバイデン政権は12月6日、「新疆ウイグル自治区で進行中のジェノサイド(集団殺害)や人道に対する罪への意見表明」として来年2月に北京で開催される冬季五輪に対して(政府関係者などを派遣しないという)「外交的ボイコット」を行うと発表した。

その発表が成される前日、中国外交部の趙立堅報道官は定例記者会見で、ブルームバーグ記者の「CNNが、アメリカが外交的ボイコットをするだろうと言っているし、日本の与党保守派のメンバーが岸田首相にも外交的ボイコットをするよう圧力をかけているが、どう思うか?」という質問に対して、概ね以下のように回答している。

──北京冬季五輪は、主役である選手のためのグローバルイベントだ。IOC(国際オリンピック委員会)をはじめとする国際社会は、その準備作業を高く評価しており、アメリカや日本をはじめとする多くの外国人選手は、中国での競技を熱望している。

冬季五輪は決して政治的なショーや策略のための舞台ではないということを強調したい。招待状も出していないのに外交的ボイコットをするということは、アメリカの政治家たちの自己満足であり、陳腐な政治的操作であり、オリンピック憲章の精神に反する政治的挑発だ。

これは14億人の中国人民に対する侮辱でもあり、もしアメリカがこのようなオリンピック精神にもとる態度を続けるならば、中国は断固とした対抗措置をとる

米国は、スポーツの政治化をやめ、北京冬季オリンピックへの干渉と妨害をやめるべきであり、そうでなければ、さまざまな重要分野や国際・地域問題における両国の対話と協力にダメージを与えることになる。(引用ここまで)

翌12月7日になると、アメリカの正式発表を受けて中国外交部は定例記者会見で同様の質問に対して同様の回答をしている。

岸田文雄首相の反応

問題は日本がどうするかだ。

12月7日午前、岸田首相は首相官邸で記者団の取材を受け、日本政府の対応について「国益の観点から自ら判断する」と述べた。その上で、「オリンピックの意義や我が国の外交にとっての意義等を総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたい。これが我が国の基本的な姿勢だ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英外相、ウクライナ訪問 「必要な限り」支援継続を確

ビジネス

米国株式市場=上昇、FOMC消化中 決算・指標を材

ビジネス

NY外為市場=円上昇、一時153円台 前日には介入

ワールド

ロシア抜きのウクライナ和平協議、「意味ない」=ロ大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中