最新記事

アメリカ政治

トランプ、バノン元首席戦略官ら140人以上に恩赦 自らには周囲の説得で適用せず

2021年1月20日(水)18時15分

トランプ米大統領は20日の退任を前にスティーブ・バノン元首席戦略官(写真)に恩赦を与えた。写真はワシントンで2019年3月撮影(2021年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は20日の退任を前に、スティーブ・バノン元首席戦略官など140人超に恩赦と減刑を与えた。政府高官によると、トランプ氏自身や家族、ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長には恩赦を与えていないという。

これまで、トランプ氏が自分や家族に恩赦を与えるとの観測もあったが、関係筋によると、恩赦を与えれば、かえってやましいことがあるのではないかとの憶測を呼ぶとして、ホワイトハウス高官らがやめるよう主張したという。


トランプ氏はすでに、フリン元大統領補佐官(国家安全保障担当)や長年の盟友であるロジャー・ストーン氏にも恩赦を与えている。今回は、選挙陣営の要人などの「身内」のほか、政権とほとんど関係のない人物にも強大な権限を使って恩赦を与えた。

バノン氏は、2016年大統領選でのトランプ氏勝利の立役者。トランプ氏が推進したメキシコとの国境の壁建設費用の名目で集めた資金を流用したとして詐欺罪で起訴された。バノン氏は罪を否定している。

このほか、銃の不法所持で有罪を認めたラッパーのリル・ウェイン被告、汚職などの罪で28年の禁固刑を受けたクワメ・キルパトリック元デトロイト市長、トランプ氏の元資金調達責任者で、昨年、外国勢力のためのロビー活動に関する法律違反を認めたエリオット・ブロイディ被告も恩赦の対象という。ウェイン被告は、昨年の大統領選前にトランプ氏の警察改革や黒人向け経済計画に支持を示していた。

昨年の大統領選の不正を主張する法廷闘争の最前線に立っていたジュリアーニ氏は訴追はされていないが、ウクライナ疑惑の関与で捜査対象となっている。

歴代の米大統領の多くが任期の終盤に恩赦を出している。恩赦は、犯した罪に対し刑が重すぎると考えられる者が対象になる。トランプ氏の場合は、大統領に就任した2017年の8月に初めて恩赦を発表、任期中に自分の支持者や側近など、いわゆる身内中心に70人に恩赦を与えていた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・前代未聞の議会乱入で現実となったアメリカの「権力の空白」
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、物価圧力緩和まで金利据え置きを=ジェファー

ビジネス

米消費者のインフレ期待、1年先と5年先で上昇=NY

ビジネス

EU資本市場統合、一部加盟国「協力して前進」も=欧

ビジネス

ゲームストップ株2倍超に、ミーム株火付け役が3年ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子高齢化、死ぬまで働く中国農村の高齢者たち

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 6

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 7

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 8

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 9

    あの伝説も、その語源も...事実疑わしき知識を得意げ…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中