最新記事

ドイツ

ドイツで新たな変異種発見か 規制厳格化で隔離義務違反者は強制収容も

2021年1月20日(水)16時00分
モーゲンスタン陽子

ドイツでイギリス株とも南アフリカ株とも違う変異種が見つかった...... REUTERS/Hannibal Hanschke

<ドイツの新型コロナ新規感染者から、イギリス株とも南アフリカ株とも違う変異種が見つかった。いっぽう隔離義務無視には強制収容するなど、規制が厳格化している......>

ドイツ南部の山間部の町ガルミッシュ=パルテンキルヒェンで18日、35人の新型コロナ新規感染者から、イギリスや南アフリカのものとは異なる変異種が見つかった。感染力の強さなど、詳しいことはまだわかっていない。

奇しくも同町の所在するバイエルン州で18日から、公共の場でより濾過性の高いFFP2マスクの着用が義務付けられるなど、さらに厳しい制約が課された矢先のことだ。

イギリス株とも南アフリカ株とも違うが、変異種の脅威は不明

ドイツでこの度見つかった変異種だが、わかっているのはイギリス株とも南アフリカ株とも違うということだけで、感染力の強さや感染悪化の速度などは不明だ。ガルミッシュ=パルテンキルヒェンクリニックの医師たちは、新種だというだけで感染力がより強いとは限らないとし、パニックを起こさないよう呼びかけている。新変異株のサンプルは現在、ヨーロッパ最大級の大学病院であるベルリンのシャリテー医科大学に送られ、さらなる分析を受けている。

ドイツの新型コロナ新規感染者数は、ここ数日でやや減少傾向にあるものの、ロックダウンによる目覚しい効果が出ているとは言い難い。度重なる延長(と規制の厳重化)を経て1月31日までとされていたロックダウンだが、さらに2月14日までの再延長が決定した。しかしながら、春までの完全封鎖を主張する医療関係者がいること、また巷では、4月初めの復活祭休暇までの閉館を発表する劇場などがちらほらと出始めていることから、「ロックダウンはなんらかの形で4月まで続くのではないか」という見方が強まっている。

防護マスク着用義務、行動半径15キロ以内

ガルミッシュ=パルテンキルヒェンの所在するバイエルン州では、奇しくも新変異株が見つかった今週月曜から、欧州規格でウィルスの濾過率がより高いとされるFFP2タイプのマスクの着用が公共の場で義務付けられている。このFFP2マスクは使い捨てマスクなのだが、1枚約2〜5ユーロもする高価なものなので、先週突然この決定がなされると市民から多くの不満の声が上がった。早くも「オーブンで消毒する方法」がネットで紹介されたり、また「高すぎて皆捨てずに使い回すだろうから、感染率がさらに上がる」などというジョークが出回ったりした。

筆者の暮らすニュルンベルク市もバイエルン州で、15歳以上の各市民に同マスクが3枚ずつ郵送されることになったようだが、19日の時点ではまだ届いていない。また、住民10万人あたり200人の新規感染者が7日連続で出ている同市はホットスポット扱いとなり、現在移動は半径15キロ以内という厳しい制限が課されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中