最新記事

陰謀論

代表的な英語の陰謀論サイト、暴走は続くがエンゲージメントは下降気味

Conspiracy Begets Conspiracy Online

2020年12月17日(木)16時05分
ギャビー・ドイチ(ニューズガード記者)

THIBAULT RENARD-ISTOCK

<「ファクトチェック・ニュース」という名前のサイトまである、コロナ禍と米大統領選のデマを載せた135のサイト。その大半ではユーザー離れが起きているが、政治サイトのいくつかは......>

大きなデマを発信したら、ついでに別の大きなデマも流してしまえということだろうか。ネット上の情報の信頼性を評価するニューズガード(筆者はそのスタッフ)が、今回の米大統領選について重大な偽情報を掲載していると判定した135件のサイトのうち、63%に当たる85件は新型コロナウイルスに関するデマも発信していた。

懸念すべき事態だが、驚くことではない。こうしたサイトの大半は、米大統領選と新型コロナ流行の前から陰謀論やデマを垂れ流していた。9.11米同時多発テロや新型コロナのワクチンなどに関するデマや陰謀論の発信元としておなじみのものもある。

デマの発信元は、これらのサイトだけではない。世界は爬虫類型宇宙人に支配されていると唱えるイギリスの元サッカー選手デービッド・アイクは、自身のウェブサイトで「ウイルスは存在しない」という持論を展開。米大統領選では「スコアカード」というプログラムによる票の改ざんによって民主党候補のジョー・バイデンに有利な結果が出たと主張している。

人気健康サイトの「ナチュラルニュース・ドットコム」は、「ファクトチェック・ニュース」といった誤解を招く名前のサイトを集めたネットワーク。このサイト群は製薬会社のファイザーやモデルナがワクチン開発に成功したと発表するはるか前から、新型コロナやワクチンに関するデマを広めてきた。

リテラシーは高まっても

こうしたサイトの中には多くのユーザー数を誇るものもあるが、ここ数カ月で人気に変化が見られる。新型コロナと大統領選のデマを載せている多くのサイトのエンゲージメント(投稿への「いいね」やリツイートなどのユーザーからの反応)が、アメリカで新型コロナの感染が拡大し始めた3〜4月のピーク時に比べて落ちているのだ。ニュースを読む時間が増えたことで陰謀論へのリテラシーが高まったためらしい。

例えばマッドワールドニュース・ドットコムは、新型コロナに関するさまざまな陰謀論を発信している。今年春には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツがコロナワクチンを接種する人にマイクロチップも埋めて追跡する「邪悪な計画」を立てていると伝えた。このサイトは米大統領選の開票結果についても数々のデマを流しているが、10〜11月の1日の平均エンゲージメントは3〜4月に比べて68%も下がっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、電動化とソフトに10兆円投資 30年までに

ワールド

ロシア軍、ウクライナの全方面で前進している=ショイ

ビジネス

日経平均は3日続伸、約1カ月ぶり高水準 米CPI後

ワールド

中ロ首脳が北京で会談、包括的戦略パートナーシップ深
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中