最新記事

中国

習近平の軍民融合戦略と、それを見抜けなかった日本

2020年10月20日(火)21時48分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

「経済発展と国防建設を一体化する戦略」はハイテク国家戦略「中国製造2025」では民間の技術を活用することによって宇宙航空やミサイルあるいは潜水艦や空母などのハイテク軍事技術が増強されることも秘かに謳われている。

こうして日本を対象に考えるならば、民間団体である中国科学技術協会が日本学術会議と提携するなどの接近を、「シラーッ」という顔をしてサラリとやってのけ、またシャープパワーを駆使して日本の経済界や日本政府与党の重鎮にターゲットを絞って「やんわりと」、「にこやかに」、「疑われることなく」懐に入り込み、中国の懐に入れる動きに出始めている。

一方、日本の軍民融合産業は、実は表面にあまり出ない形で深く堅実に進んできた。

たとえば、安易にウィキペディアを引用して申し訳ないが、「軍需企業の一覧」をご覧になっただけでも、凄まじい量の日本企業が日本の軍事産業を支えている。

このページでは各分野ごとに主だった日本企業名が列挙されているので、その企業名を見ただけでも驚くべき数に上ると思わないだろうか。ほかにも日本国内の兵器の生産に関わる企業は戦闘機や戦車で1000社以上、護衛艦では2000社以上と言われている。

この中で特に中国で注目されているのは「日本の軍事ビジネス」にも書かれているように

1. 三菱重工業(3165億 戦闘機・航空機等

2 .三菱電機 (1040億 ミサイル・レーダー等)

3. 川崎重工業 (948億 潜水艦・ヘリコプター等)

4. NEC(799億 レーダー・電子機器等)

5. IHI(483億 エンジン等)

6. 富士通(401億 ネットワーク等)

7. コマツ(294億 砲弾・装甲車等) 

8. 東芝(284億 ミサイルシステム等)

9. 日立製作所(242億 情報システム等) 

10. ダイキン工業(149億 砲弾等)

などで、アメリカではロッキード・マーチン社(軍需4兆円規模)、イギリスではBAE社(軍需2兆円規模)など、企業の売上の90%以上は軍需という巨大軍需企業が多いとのことである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中