最新記事

米中対立

トランプ政権、TikTok・WeChat禁止めぐる法廷争い継続へ

2020年9月29日(火)11時46分

米アプリストアで中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の新規ダウンロードを禁止するトランプ政権の措置は、法廷での争いが続く見通しだ。写真は米国旗の上のTikTokのロゴマーク。2019年11月8日に撮影。(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

米アプリストアで中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の新規ダウンロードを禁止するトランプ政権の措置は、法廷での争いが続く見通しだ。

米首都ワシントンの連邦地裁は27日、同日深夜に発効する予定だったTikTokの新規ダウンロード禁止命令を一時差し止める判断を示した。

ウィーチャットについても、カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁が20日に同様の判断を示している。

それぞれの訴訟で裁判所は、米ユーザーのデータに中国政府がアクセスし、米国の安全保障を脅威にさらしているという政権側の主張の根拠に疑問を示した。

ワシントン連邦地裁の判事は28日に公表した意見書で「政府は中国が国家安全保障上の重大な脅威をもたらすことを示す証拠を十分に示しているが、(TikTokが)もたらす脅威に関する特定の証拠や、ダウンロード禁止が脅威に対する唯一の効果的な対処法であるかどうかを示す根拠は、比較的不十分なままだ」と指摘した。

ウィーチャットを巡る訴訟を担当するカリフォルニア州連邦地裁の判事も「政府は中国の活動が国家安全保障上の重大な懸念を提起していることを立証する一方、全ての米ユーザーのウィーチャット利用を実質的に禁止する措置が、そうした懸念への対処につながるという証拠はほとんど示していない」と指摘した。

米司法省はカリフォルニア州連邦地裁に仮差し止め命令の保留を申し立てており、同地裁は10月15日に審理を予定している。

米商務省はTikTokに対する他の制限を11月12日に導入する予定で、ワシントン連邦地裁の判事は、これらの措置を差し止めるか判断するまでに政府とTikTokの双方からさらに資料の提出があるだろうとの見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中