最新記事

アップル

Siriが「テロリストは警官」と返答、アップルに怒りの声

Siri Offers Directions to Police When Asked 'Where Are the Terrorists?'

2020年9月24日(木)14時35分
トム・バチェラー

正常に作動する限りSiriは何かと便利だが(2011年、ロンドン) Suzanne Plunkett-REUTERS

<アメリカで警察による暴力が問題視され各地で抗議デモが続くなかの「誤作動」に批判の声があがっている>

アップルの音声アシスタントSiri(シリ)に「テロリストはどこにいるの?」と聞いたら、警察署のリストを表示した――まるで警察官はテロリストだと言わんばかりだ。「こんなアルゴリズムを容認するアップルはひどすぎる」と怒るユーザーの動画がツイッター上に複数出回り、アップルに批判が寄せられている。

アメリカの複数の州と、さらにはオーストラリアでも、複数のユーザーが同じような経験をしたと報告している。


しかし本誌がイギリスで購入したiPhoneを使ってSiriに同じ質問をしたところ、返ってきた答えは「どうお答えしたらいいのかわかりません」だった。本誌ではアップルにこの問題について説明を求めたが、これまでのところ返答はない。複数のユーザーがツイッター上でアップルに注意を促そうと、「なぜこんな現象が起きるのか」と同社に問いかけている。

Siriについては、1月にも同じような問題が起きている。iPhoneユーザーがSiriに「ルーベン・リブリンとは誰か」と尋ねたところ、短期間だが「『シオニスト占領国家』の大統領です」という答えが返ってきたのだ。

イスラエルを「シオニスト占領国家」と呼べば、イスラエルを含む世界中のユダヤ人が怒り出しかねない。ウィキペディアを誰かが書き換えたために起こった症状だという。Siriはネット上に公開された情報に基づいて返事をしているので、こうしたことが起こり得る。

最悪のタイミング

原因は何であれ、今回はタイミングが悪過ぎた。アメリカでは黒人男性ジョージ・フロイドが白人警察官に身柄を拘束されて死亡した事件を受け、警察批判が高まっており、複数の都市で警察による暴力行為に抗議するデモが展開されている。5月にフロイドが死亡して以降、ポートランドでは毎晩デモが行われ、既に連続100日を超えた。

人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、アメリカの警察が「とりわけ人種的・民族的少数派の人々、特に黒人に対して、衝撃的なほど頻繁に人権侵害を行っている」と非難している。各地の市長や州知事が警察改革の必要性を訴えており、民主党の大統領候補であるジョー・バイデンもそれに加勢している。

バイデンは、連邦政府の警察予算について条件を設けるべきだと主張。警察が「良識や公平さに関する一定の基準を満たしているかどうか、コミュニティーとそこに暮らす全ての人を守ることができると示せるか」を条件に、支援を行うことを支持するとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中