最新記事

カナダ

「香港国家安全法」に反対の立場を取ったトルドーに中国が報復誓う

China Threatens Canada After Trudeau Suspends Hong Kong Agreements

2020年7月9日(木)15時30分
デービッド・ブレナン

トルドーは香港の民主主義の側に立った Patrick Doyle-REUTERS

<日本を含む他の国々にとっても他人事ではない香港という踏み絵にどう対応するか>

駐カナダ中国大使は、カナダ政府が中国の「香港国家安全維持法」に対する制裁を発表したことに反発した。

从培武大使は7月7日付のトロント・スター紙のインタビューの中で、ジャスティン・トルドー首相率いるカナダ政府について、香港を通じて「中国に内政干渉を行う」のはやめるべきだと批判した。

中国政府とその当局者たちは、香港国家安全維持法に対する批判に強く反発している。国際社会は中国が7月1日から施行した同法について、香港での反政府的な動きを犯罪と見なし、「一国二制度」の下に香港に保障されてきた政治的自由を事実上奪うものだと非難している。

カナダ政府も同法に反対の立場から、3日には香港と結んでいた犯罪人引き渡し条約の停止と、香港で民主化デモの弾圧に使われる可能性がある「軍民両用」製品を含む軍事物資の輸出禁止を発表した。香港国家安全維持法の下、民主化デモは「違法行為」とされている。

「黙っているつもりはない」

中国外務省の趙立堅報道官は6日、中国政府には報復の用意があり、カナダは「その責を負うことになる」だろうと発言。从培武は、「見ているがいい」「我々は断固として自国の安全保障と主権を守っていく。(内政干渉を)黙って見過ごしはしない」

在カナダ中国大使館は6日、中国の国民に対してカナダに渡航する際は注意するよう警告。カナダの法執行当局による「頻繁な暴力行為」をその理由に挙げた。

中国外務省の報道官は6日の会見で、カナダの取った措置は「国際法と国際関係上の重大な違反であり、ひどい内政干渉だ」と主張。カナダ政府に対して「両国関係へのさらなるダメージを回避するため、直ちに間違いを正すよう」促した。

イギリス、オーストラリア、ニュージーランドやアメリカなどほかにも多くの外国政府が香港国家安全維持法を非難し、法律的な対抗措置を取っている。これを受けて、これらの国に派遣されている中国大使は現地政府に強く抗議しており、中国政府は内政干渉だと反発している。

<参考記事>中国で捕らわれた外国人を待つ地獄の日々
<参考記事>「ファーウェイの部分容認は5Gに新型コロナウイルスを入れるのと同じ」元ミス・ワールド代表が警鐘

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、ロシア凍結資産活用で合意 利子でウクライナ軍

ビジネス

政府関係者が話した事実はない=為替介入実施報道で神

ワールド

香港民主派デモ曲、裁判所が政府の全面禁止申請認める

ビジネス

英アーム、通期売上高見通しが予想下回る 株価急落
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中