最新記事

プラットフォーム

フェイスブックに対する広告ボイコットが止まらない

Facebook Ad Boycott May Be Tip of Iceberg for Zuckerberg's Social Network

2020年7月1日(水)17時55分
ジェーソン・マードック

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、問題のある投稿には警告のラベルをつけると方針転換を発表した。Erin Scott‐REUTERS

<憎悪や暴力をあおる投稿放置するフェイスブックに広告を出せば出した方のブランドにも傷がつく、と運動は大企業にも広がっている>

フェイスブックに対する広告ボイコットの動きが止まらない。自動車メーカーのフォード、衣料品大手アディダス、ヒューレット・パッカード(HP)、米小売大手ベストバイも出稿を一時的に停止するなど、大企業にも広がり始めた。

この運動がもたらす長期的な損失についてソーシャルメディアの専門家はまだ測りかねているが、ある業界コンサルタントは、フェイスブックというブランドが「傷つく」可能性がある、と本誌に語った。

人種差別やヘイトスピーチ、フェイクニュースの温床となりながら、適切な処置をとらないマーク・ザッカーバーグのフェイスブックの広告主に対し、出稿の停止を求めるキャンペーン「ストップ・ヘイト・フォー・プロフィット(憎悪を利益にするな)」には、現在200社以上の企業が参加している。

フェイスブックやインスタグラムとの取引の見直しを発表する企業は日に日に増え、トランプの暴力的なツイートに警告表示を出したツイッターまで巻き添えをくらっている。ザッカーバーグは6月26日にみずからフェイスブックに投稿し、「ニュース価値」があっても規約違反の投稿には警告ラベルをつける方針を明らかにして、事態の鎮静化を図った。だがボイコットの流れは変わらない。

SNS全体の広告に影響

フォードの広報担当者は6月29日の声明で、今後30日間、国内のソーシャルメディアへの広告を一時停止して、SNS上での同社の広告の在り方を「再評価」することを明らかにした。「ソーシャルメディア上のヘイトスピーチや暴力、人種差別を助長するコンテンツは根絶する必要がある」。

アドバタイジング・エイジ誌は分析会社パスマティクスのデータとして、フォードのフェイスブックでの広告費は過去30日間で5万7000ドル、年初来では約290万ドルに達していると伝えた。

衣料品大手のアディダスは、7月はフェイスブックとインスタグラムへの広告を一時停止し、この期間を使って「安全な環境を作り、維持する責任を負うために、わが社および取引先が守るべき基準を策定する」と発表した。

家電量販店ベストバイの広報担当者はニュース専門放送局CNBCで、フェイスブックとインスタグラムから広告を7月いっぱい引き上げると語った。HP(ヒューレット・パッカード)は防止策が講じられるまで、アメリカ国内のフェイスブック広告を大幅に削減する予定だ。

6月29日にボイコットに加わった企業には他に、デニーズ、衣料品のプーマ、クラウドファンディングサービスのパトリオン、清掃用品のクロロックスが含まれていた。ユニリーバ、ベライゾン、スターバックス、コカ・コーラ、ディアジオなどの大企業はすでに参加している。

<参考記事>フェイスブックのザッカーバーグ、倫理観の欠如に社内外から批判噴出
<参考記事>反ワクチン派がフェイスブック上での議論で優勢となっている理由が明らかに

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アフガニスタン北部で洪水、315人死亡

ワールド

プーチン大統領、ショイグ国防相を交代 後任にベロウ

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 9

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中