最新記事

中東

イラク治安部隊、バグダッド南部の親イラン武装組織ヒズボラの拠点を襲撃

2020年6月26日(金)13時40分

イラクの治安部隊が25日遅く、バグダッド南部にあるイランが支援するシーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の拠点を襲撃し、同組織のメンバー10人以上を拘束した。写真はカタイブ・ヒズボラの旗。2019年12月撮影(2020年 ロイター/Khalid al-Mousily)ロイター

イラクの治安部隊が25日遅く、バグダッド南部にあるイランが支援するシーア派武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の拠点を襲撃し、同組織のメンバー10人以上を拘束した。イラク政府当局者と民兵組織関係者が明らかにした。

米当局は以前から、同組織がイラク内の米軍駐留基地などにロケット弾を発射していると指摘していた。

今回の襲撃について、関係者の話は錯綜している。

あるイラク当局者と民兵組織関係者は、拘束されたメンバーはイラクで活動するシーア派民兵組織「人民動員隊(PMF)」の支部に移送されたと説明。一方、別のイラク当局者は拘束されたメンバーは移送されず、引き続き治安部隊の管理下にあると述べた。

拘束人数の情報も錯綜し、PMF関係者は19人、政府当局者は23人としている。

イラクの部隊によるカタイブ・ヒズボラの襲撃で、今回ほど大規模なものは数年ぶり。米国の施設を標的とする民兵組織に強硬措置を講じるとの公約を守るイラクのカディミ新首相の姿勢が示された格好だ。

ここ最近、イラクにある米国大使館や米軍施設を狙ったロケット弾攻撃が相次いでいた。

だが今回の襲撃は民兵組織への対応の難しさも浮き彫りにしている。PMF幹部は、協議の結果、拘束されたメンバーはPMFに引き渡されたと語った。

PMFはイラクの準軍事機関だが、イランに忠誠を誓う組織もそうでない組織も含まれており、親イランの民兵組織が大半を占めている。

ある政府当局者はロイターに対し、今回の襲撃でカタイブ・ヒズボラの指揮官3人が拘束され、イラクのテロ対策部隊に移送されたと説明。うち1人はイラン人だとした。

一方、PMFの関係者は、カタイブ・ヒズボラの指揮官は拘束されていないと語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナに感染して免疫ができたら再度感染することはない?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナウイルス新規感染48人を確認 今月5度目の40人超え
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200630issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中