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台湾のこれから

日本は台湾からの難民を受け入れる準備ができているか

JAPAN NOT READY FOR TAIWANESE REFUGEES

2020年1月11日(土)11時50分
トラビス・サンダーソン(台北在住ジャーナリスト)

受け入れの準備が全くない日本の沿岸に台湾の人々が押し寄せれば、日本の経済的負担は高まり、難民は国内でスケープゴートにされるだろう。急ごしらえの非効率的な難民管理の体制は、難民と日本人の双方に社会不安を生む。難民をめぐる経済政策の失敗と社会不安の増大は、政権の支持率も脅かしかねない。

さらに、台湾難民危機は、「日本人であること」の意味を改めて日本に突き付けるだろう。

日本統治時代、台湾の指導者は同じ「日本」でありながら与えられなかった政治的権利と人権を勝ち取るために戦った。知識人の難民申請者は、その過去を引き合いに出すかもしれない。危機が現実になったとき、「日本人であること」に日本政府の気まぐれで台湾人が含まれたり含まれなかったりしてきた歴史が、論争の元になるかもしれない。

From thediplomat.com

<1月14日号「台湾のこれから」特集より>

【参考記事】今、あえて台湾に勧める毛沢東戦術

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2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

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