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私立学校でいじめの実態は把握されているのか?

2019年11月13日(水)15時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

なお、公立中学校のいじめ認知度には地域差がある。<表1>と同じやり方で都道府県別の数値を計算し、高い順に並べると<表2>のようになる。

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山梨県と山形県では、統計上のいじめ件数が、いじめを容認する生徒数の2倍を超えている。頻繁に見回りをしたり、アンケート調査をしたりと、いじめの把握に本腰を入れていることがうかがえる。16の県が1.0を上回るが、0.5を割っている県も8県ある。後者の県は、いじめ認知の姿勢が適正か点検してみる必要があるかもしれない。

認知度が低いのは都市部の県が多いが、中学生のスマホ所持率が高いので、いわゆる「ネットいじめ」にも注意が必要だ。インターネット上のいじめも、いじめの法的な定義に含まれる(いじめ防止対策推進法第2条)。こうしたネット上のいじめは、把握の網から漏れやすい。同法第19条でも規定されているように、国や自治体はネットパトロール等の取組を支援していく必要がある。

<資料:文科省『全国学力・学習状況調査』(2018年度)
    文科省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2018年度)

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