最新記事

気候変動

「地球にやさしい」労働時間は、週9時間!?

2019年10月4日(金)18時15分
松丸さとみ

労働時間1%減でもCO2排出削減効果が

ただ報告書には、こんなデータも掲載されている。2015年に発表された研究では、労働時間を1%減らすことで、温室効果ガスの排出量が0.8%削減できると示唆されたという。また、2012年に発表された研究では、労働時間の1%短縮が、カーボンフットプリントの1.46%削減、二酸化炭素の排出量0.42%削減につながるとしている。

週9時間に減らすことが無理でも、1%減らすことならなんとかできそうな気がしてくるのではないだろうか。

環境問題対策だけが原因ではないが、労働時間の短縮は世界的なトレンドになりつつある。英BBCによるとドイツでは2018年、100万人近い鉄鋼業従事者が1週間当たりの労働時間を、それまでの35時間から28時間に短縮する権利を勝ち取った。また英国では野党労働党が、全国的に週4日勤務を実施する考えを検討している最中だ。

ガーディアン紙は2015年、スウェーデンにある介護施設の試みを紹介していた。看護師の1日の就業時間を6時間に短縮したことで、効率が上がった上、離職者を減らすことができたという。

気候変動問題の解決に向けて、技術イノベーションの重要性が増しているが、「働き方」をめぐっても、さまざまな議論が生まれている。オートノミーは今回の報告書の中で、地球の生態系が取返しが付かないほどに変わってしまうようになるまでに残された時間は少ないと述べており、この報告書が、議論のための刺激になれば幸いだと結んでいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米イーベイ、第2四半期売上高見通しが予想下回る 主

ビジネス

米連邦通信委、ファーウェイなどの無線機器認証関与を

ワールド

コロンビア、イスラエルと国交断絶 大統領はガザ攻撃

ワールド

米共和党の保守強硬派議員、共和下院議長解任動議の投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中