最新記事

皇室

日本の皇室の命運は、13歳少年の肩にかかる

2019年10月24日(木)16時40分

悠仁さまは現在、お茶の水女子大付属中学校に通っている。現在の皇室典範の下で、皇族が学習院中等科以外の中学で学ぶのは初めてだ。

平和と民主国家の象徴として、そして戦時日本による侵略行為の被害者との和解に向け、積極的な役割を果たした祖父の明仁上皇と異なり、悠仁さまには将来の即位に備えた教育を行う特別な指導役がいない。

明仁上皇には、慶応義塾の塾長を務めた小泉信三氏などの教育係がいた。そして明仁上皇自身が、長男である今上天皇、徳仁さまのロールモデルとなった。

関東学院大学の君塚直隆教授は、「21世紀の現代にとって君主とは、あるいは君主制とはどうあるべきかをしっかり一緒に考えられるような補導役が必要だ」と指摘する。

「このあたりのことを、秋篠宮や宮内庁がどの程度真剣に考えているのか、まったく伝わってこない」

実際に悠仁さまが皇室存続の責任を1人で背負うことになるかどうかは、まだはっきりしない。

国会は2017年、明仁上皇の天皇退位を認める特例法を成立させた際に、 安定的な皇位継承のたの諸課題の検討を行うよう政府に求める付帯決議を可決した。

選択肢の一つは、愛子さまや悠仁さまの姉2人を含む女性皇族が結婚後も皇籍にとどまり、自ら、または子供が皇位を継承できるようにすることだ。世論調査によると、一般的な日本人の多くがこの選択肢を支持している。

一方、保守層は戦後に皇籍から離れた旧皇族の復帰などを求めている。

安倍首相は、厄介な議論に手をつけそうにない。

政権はこの議論をできるだけ先延ばしにしようとしていると、複数の専門家は指摘する。

(翻訳:山口香子、編集:久保信博)

Linda Sieg

[東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191029issue_cover200.jpg
※10月23日発売号は「躍進のラグビー」特集。世界が称賛した日本の大躍進が証明する、遅れてきた人気スポーツの歴史的転換点。グローバル化を迎えたラグビーの未来と課題、そして日本の快進撃の陰の立役者は――。



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

スロバキアのフィツォ首相、銃撃で腹部負傷 政府は暗

ビジネス

米CPI、4月は前月比+0.3%・前年比+3.4%

ワールド

米大統領選、バイデン氏とトランプ氏の支持拮抗 第3

ビジネス

大手3銀の今期純利益3.3兆円、最高益更新へ 資金
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中