最新記事

韓国事情

韓国で広がる日本製品の不買運動、韓国企業も損失で否定的な意見も

2019年7月26日(金)19時00分
佐々木和義

<韓国で日本製品の不買運動が広がっているが、いっぽうで韓国企業も損失を被り、不買運動に否定的な声も聞かれる......>

韓国の世論調査専門機関リアルメーターがTV民生研究所の依頼を受けて行なった日本製品の不買運動に関する調査で、回答した503人中54.6%が不買運動に参加していると答え、参加していないと回答した人は39.4%だった。

李在明知事が脱日本を主張する京畿道や仁川、釜山、蔚山、慶南、全羅道は不買運動に参加しているという回答が60%に達したが、中西部の太田、世宗、忠清道は半数が参加していないと回答、大邱と慶北も不参加者が参加者を上回った。ソウルは半々で、不買運動に否定的な声も上がっている。

セブンイレブン、ユニクロ、無印良品......売り上げ落ち込み

毎日経済新聞によると、同社が取材したソウル市松坡区のユニクロ・ロッテワールド店は、訪問客が目に見えて減っており、旗艦店のユニクロ明洞中央店も中国人観光客が多くを占め、韓国人客はほとんどいなかったという。

日本製ビールの7月1日から18日の売上は、スーパーマーケット大手のEマートが前月と比べて30%減、コンビニ大手のCU、GS25、セブンイレブンも18%から最大40%減少した。また、カード会社の集計でユニクロは26%、無印良品も19%、それぞれ売上が落ち込んでいたという。

訪日観光も影響を受けている。インターネット通販のティーモンが7月初旬の予約状況を分析した結果、1位と2位は前年と同じベトナム・ダナン、大阪の順だが、福岡は前年の3位から5位に後退し、8位だった沖縄はトップ10から姿を消した。

訪日観光の取扱いが最も多い旅行大手ハナツアーでは1日1000人を越えていた訪日ツアーの新規申込みが500人台まで落ち込み、2位のモドゥツアーも半分に減っている。個人客に大きな変化は見られないが、団体が日本を敬遠する傾向が強まっているという。

韓国企業も損失、不買運動に否定的な声も

不買運動が拡散する一方で、反対の声も上がっている。高麗大学経済学科の教授は新聞社の取材で、不買運動の対象となっている消費財が日韓貿易に占める割合は15%しかなく、日本に影響に与えることはないと述べている。また韓国企業のダメージが大きいという声もあり、7月に入ってからロッテの株価が13%下落している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中